第2話 彼のバンド名はuranos!

朝、学校に行く時間。由姫は早朝から向かっていた。家から学校

まで数駅離れているが、駅からは歩いて十分程だ。その間も

人が少ない時間に行き、走って学校に入る。これもトレーニングの

一貫だった。


それから教室に向かう。二年三組ここが由姫と里奈がいるクラスだ。

鞄を置き、また教室を出る。向かう場所は音楽室だ。まだ朝練の

時間まであるのでそれまでは由姫が使っている。


そこでピアノを弾く。由姫は歌うのが好きで、ピアノは最初

習っていなかった。孝弘がピアノを弾いてそこに由姫が

歌うからだ。孝弘と別れてから由姫は楽器を覚えた。

音楽に関することはほぼできるぐらいに練習をした。だから

今の歌唱力があり、プロにもスカウトされる程だ。


そんな由姫は最初、里奈と二人のユニットにしたいと思って

いたが、里奈からどうせならバンドにしないと言われそう

する事にした。


それから高校に入って、夕子と美麗に会い、洋子とも出会った。


そうして今のバンド、crosswiseを結成した。すぐに合同練習

をしてライブをした。そこで由姫もこのメンバーなら良いと

思い続ける事にした。


一曲弾き終わると由姫は手を止めた。


「あれは本当に孝弘なの?あんなにひ弱で頼りなかったのに。それが

あんな風に?でも、私が彼を間違うはずは」


由姫はずっと考えていた。でも、今はまだ会う時じゃないとも

言い聞かせて会うのを我慢していた。

教室に戻り、里奈と話し合う。クラスの中で由姫とまともに

話せるのは里奈だけだった。一年の時に有名になった二人に

クラスメイトはあまり話せれないでいた。里奈は誰とでも

話に行っているが。


お昼はメンバーで一緒に食べる事が多い。なので食堂では

全員が揃うと他の生徒達が見にくる。ここは男女共学なので

特に男子が見に来ていた。


「すっかり有名になったね私達」

「それはこの地区だけです。全国的にはまだまだです」

「洋子の言う通り。私達はプロになるんだから。全国で

知られないと意味がないわ」

「プロか。本当になったらすごいね夕子」

「そうだね。どんなライブができるのか楽しみ」

「美波さん、あとどれぐらい練習すれば良いのですか?もちろん

私もまだ納得はできませんが、目安があった方がいいかと」

「そうね。それは決めておくわ」


それから午後の授業を受けるが、由姫はそこまで好きじゃ

なかったが、体育は別で運動部以上の運動量があった。

でも、授業はあまり参加しなかった。それも中学の後半

ぐらいから大きくなってきたおっぱいが邪魔だったりそれを

男子に見られるからだ。なので水泳でも見学をしている。


授業も終わり、放課後はすぐに帰る。たまにクラスメイト

からカラオケに行かないと誘われるが由姫は練習が

あるからと断っている。里奈はついていくが。


この日は全員で集まれないので個人での練習になる。そういう

一人の時はすぐに家に帰る時もあるがこの日はスタジオに

向かった。そこで確認もしたかったからだ。

店に着くと健がいた。


「いらっしゃい。今日は一人かい?」

「ええ。それより少し聞きたいのだけど」

「なんだい?」

「昨日、来ていた彼らはどんなバンドなの?」

「昨日っていつのだい?」

「私達が終わった頃にいた彼らよ。一人背の高い

白銀の髪をした人がいたでしょ」

「ああ、彼らか。彼は最近売れ始めてるバンドだよ。実力

なら一番だな」

「そのバンドの名前は?」

「確か、uranos だな。何かの神様の名前みたいだな。よくある

ネーミングだが、彼らなら音楽でトップになれるぐらいの

実力はあると思うな」

「uranos。メンバーの写真とかありますか?」

「なんだいやっぱりイケメンに目をつけたのか?」

「違うわ。そんなのに興味はない。気になる人がいるだけよ」

「ほう、まぁ見せるだけなら」


と健に写真を見せてもらった。そこに白銀の髪をした彼がいた。


「やっぱり違いすぎる。気のせいね」

「もしかして知り合いか?」

「いえ、少し似てただけよ。こんなにたくましくはなかったもの」


由姫は一時間だけスタジオを借りた。その帰り道というか

家の前で里奈と会った。里奈が由姫の部屋についていった。


「お!懐かしい写真だね。三人でこのベッドで寝てる

時だ」

「親が勝手に撮った奴よ」

「でも、飾ってるって事は気に入ってるんだね。まぁ孝弘に

べったりだったからね」

「そ、それは子供の時だからよ」

「そうだね。今だったらすぐにエッチになるかもね」

「エッチなんて」

「由姫はしたくないの?それも結婚してから?」

「そ、そうよ。そういう事はちゃんと結婚してからあっ!」


里奈が由姫のおっぱいを後ろから揉む。


「これならすぐに孝弘も落ちるよね。男の子はおっぱいが

好きだから」

「彼がそうとは限らないでしょ」

「それでも求めてきたら触らせてあげるでしょ」

「それは」


それからしばらく里奈が由姫をいじって遊んだ。


そんな風に過ごしていたある日、由姫達がライブを

する事にした。そこはそれなり広い会場で千人は

入る程だ。その会場から由姫達に出演してくれとの

依頼が来たのだ。


これまでに一番大きな会場なので由姫達引き受けた。でも

そのライブは合同ライブで他のバンド共一緒に行う

物だった。


それでも経験になるのと、誰とやっても自分達が一番と

思っていた。なのでそれに向けて由姫達はさらに

練習をする事にした。


そうして会場でのリハをするためにやってきたがそこで

由姫に声をかける人が現れた。

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