とりあえず自分と向き合うのです

『好きなことを続けて極めていこうという考えは?』

「そういう考えはあります。ただ、苦手です」


継続にはモチベーションが必要。

けれどモチベーションを保つって結構難しい。


「一緒に頑張る仲間を見つけられた趣味は長く続きますし、一人でやっているようなものは波があります。褒められればやる気が出ますが、長いこと賞賛されずにコツコツと下積みする、なんていうのは苦手です。努力するのが得意ではありません」

『努力しなくても良いほど好きなことなら?』

「それが見つけられないから困ってるんですよ」

『好きなことはたくさん見つけただろう?』

「稼ぐという結果に繋がりません」

『それって、本当に結果が大切なんだっけ?』


ふと、思い出す。

稼ぐ上で大事なことは「結果」ではなく、稼ぐ時の気持ち、つまりは「心を満たす」という部分である。らしい。これも少し前にテレビだかYouTubeだか本だったか、どこかで仕入れた情報だ。心を満たせば、なぜか自然と結果がついてくる。世界はそういう風に出来ている。

いや、そんなん簡単に信じられん。

そういうことを提唱する人たちって、一年間やってみれば分かる、とか簡単に言うけど、二十八歳独身女性の一年間はそんなに軽いもんじゃねーんだ。わかってくれ。簡単にポンっと結果が出てくれないと信じられない。

けれど。


『とりあえずやってみる価値はあるんじゃない?』

「やってみる、とは」

『まずは一年、働きながらでも好きなことを突き詰めてみるんだよ』


運がいいことに、今の職場に対して色々と文句はあるけれど、残業は殆ど無いし、有給もたくさん残っている。令和四年度は勤続年数で特別休暇も数日付与されるから、自由時間は今までより増える。チャンスは多い。


「じゃあ、手始めにエッセイを出来るだけ毎日書くようにします。こうやって心の内を晒して文章にすると、何となくスッキリして楽しいので」

『いいね。気負わないくらいがちょうどいい。慣れてきたら次のことを始めよう』



0105



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る