稼ぐって何だろう

『じゃあ、単刀直入に何をして稼ぎたい?』

「は?」


知らんがな。


「そんなことを聞かれても困ります。今の仕事を辞めたいという現状しか考えていません。いや、それを打開するために考える時間がこの執筆というか。私って何をしたら稼げますか?」

『じゃあ、質問を変えよう。仮に今の趣味の延長線上が稼ぎになるのだとしたら、本気で楽しめることは? よく考えてみて。自分自身が一番よく知っているんじゃないかな? 好きなこと、続けてきたこと、これからも無償だとしてもやっていきたいこと』


稼ぐという考えが先行していると、本当に好きなことを考えても「それで稼げるのか」という疑念が先に立つ。

例えば、私はゲームをするのが好き。主にRPGをメインにやっていて、基本的にゲーム達成率は90%を超えるほど。中には達成率100%にするほどやり込んだものもある。けれども、それが一体何になるというのか。

好きと稼ぐは違う、という概念を中々切り取ることができない。


「ゲームをすることが好きです。けれど、そんなに強いわけではないので、YouTuberでゲーム配信をするほどの実力はないと思います。あと、小説を書くことが好きです。でも、一部の人の間では人気がありますが、世間的に売り出して賞を取れると胸を張れるほどの小説を書いたことがありません。旅行に行くのが好きですし、その場で写真を撮ることも好きです。けれど、そこまで回数が多いわけでもなく、詳しいわけでもありませんし、写真だって誰かに認められるほどの実力かどうかは分かりません。ダンスをすることが好きです。けれど、人様に見せられるレベルではありません。歌うことが好きですし、作詞作曲することが好きです。けれど、編曲ができないので、世に出すところに至りません。他にも、漫画を読むのが好きとか、映画を見るのが好きとか、色々と趣味はあるんですけど、どれをとっても中途半端で、秀でた才能を持っているわけではないのです」

『その趣味で稼ぐことができない理由は? 秀でた才能が無ければ稼ぐことができないの?』


そういえば、出来ないから稼げないと思うのはどうしてだろう。

大して面白くもないお笑い芸人が売れていたり、統率力のない人が社長として富を築いていたり、歌があまり上手くなくても大ヒットを連発する歌手だって存在する。誰とは言わないけれど。

考えてみれば、上手だから売れるというわけではないし、下手だから売れないというわけではない。代表的な例で言えば、絵画なんてまさにそれだと思う。上手とか下手とか、そういう物差しで何億もの値段がついているわけではない。大事なのは、その絵に込められた本気度とか、愛情とか、多分そういうものなんだろう。


じゃあ、改めて思う。稼ぐって何だろう。



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