低賃金なのです。

『さて、まずは仕事の話だったね』


低賃金なのです。


「保育士なんです。小規模の認可保育園で働いています。給料は手取り十七万円から十八万円。ボーナスは年に一度、一ヶ月分です。残業は延長児が居た時のみなので、ほとんどありません。残業手当は時給千円程度ですね。交通費の支給はあり。それから、資格手当が二万五千円。担任手当が三千円。主任手当が一万円です。拘束時間は九時間。休憩が一時間ありますが、寝ている子ども達の呼吸確認をしたり、日々の書類やノートなどの書き物をしたり、保育の準備、製作、インスタの投稿をしなければならないので、そんなに休んでいる時間もありません。九時間、ほぼずっと気を張って大切な命を守り、育てていく。とっても大切な職業だと思っていますが、それが十七万円です。ちなみに、昇給は一律、一年ごとに五百円です。この職場で、そしてこの職業で、これから先もずっと働いていくことに、将来性を感じないのです」

『なるほど』

「勿論、保育士が低賃金なのは知っていました。それでも愛があれば大丈夫って思っていたんですけどね。その話は一先ず置いておいて。……これ、会社にバレたらやばいですかね」

『そちらの件につきましては責任を負いかねます』

「ひっ」


世の保護者のみなさん。あなたのお子さんを預かっている、あの保育士さんも、その保育士さんも、みんな似たようなもんですよ。



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