35冊目 ネット万屋
あるところに
男が万屋に憧れを抱いたきっかけは、幼い頃に観たドラマだった。ドラマの中で様々な依頼をこなす万屋は男の目にはどんなヒーローよりもカッコいい物として映り、ドラマを観終える頃には男の将来の夢は万屋で固まっていた。
その翌日から、男は万屋となるために様々な努力を重ねた。力仕事や病人の介助のための筋力トレーニングや家庭教師などの知識を必要とする依頼のための読書や習っていない範囲までの予習などを行い、男はその努力の甲斐もあって学校では成績優秀な生徒となったが、男は周囲からの賛辞に喜ぶ様子は見せず、万屋となるためにひたすら努力を続けた。
そして数年後、高校生となった男はインターネットを通じてならば店を建てずに万屋として活動を出来ると考え、サイトに寄せられた様々な依頼をこなすネット万屋として活動をし始めた。
すると、男のネット万屋は世間からとても珍がられ、サイトには興味本位による様々な依頼が連日寄せられた。男がそれに喜びながら依頼をこなしていくと、その人気は徐々に上がっていき、寄せられる依頼の種類もそれと同時に増えていった。
そしてそれから更に数年が経ち、依頼を終えた男が満足げな表情を浮かべながら帰ってくると、ネット万屋の噂を聞いたという人物からの依頼がサイトに来ていた。
その依頼というのは、家まで来て作業の手伝いをしてほしいという物で、その依頼内容の具体性の無さに男は少し怪しんだが、似たような依頼も過去にあったため、男はそういう物だと納得し、依頼の解決をするための準備を始めた。
後日、依頼人から教えられた住所の民家に到着した男はインターフォンを鳴らしたが、いくら待っても依頼人が出てくる様子はなく、それに疑問を抱いた男が連絡を取るためにドアに背を向けたその時、玄関のドアがゆっくり開いた。
そして、電話に依頼人が中々出ない事に男が疑問を抱く中、開いたドアの隙間から長い鉄の棒がぬっと現れると、鉄の棒は男の頭を強く叩き、その衝撃で男はその場に倒れこんだ。
その後、ドアを開けながら不気味な笑みを浮かべた男性が現れると、男性は後頭部から流血する男の足を掴み、ゆっくり家の中へと引きずり込んでいった。
その数日後、男との連絡が取れなくなった事に両親が不安感を募らせていると、そこに一つの荷物が届いた。住所は違ったものの差出人の名前は男の名前であり、その事に疑問を抱きながらも両親は荷物を開けると、母親はその中身に悲鳴を上げた。
入っていたのは、
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