「キイテナイ」
「レーカ姉。父さんどこにいるか知らない?」
「おとうさんならおかあさんに引っ張られて出ていったよ」
「ええっ。マジかあ。お菓子作ったから見て貰おうと思ったんだけど……」
「あんた本格的におとうさんに似てきたね……。マジで男なの?」
レーカ姉だって母さんにそっくりじゃないか、と喉の奥まで上がってきた弟だったが絶対に蹴られると判っていたので口には出さなかった。
だが遺伝とは怖いものだ。即座に考えがレーカに筒抜けになった。低く腰を落として足にタックルで組み付かれた。弟は必死に抵抗したがそれは虚しく終わり両足を固定され胸ぐらを掴まれた。
「あんたそろそろ彼女作ったほうがいいなじゃない?」
息が当たるほど思いっきり顔を近づいてレーカが問うた。
「レーカ姉もだろ」
「あんたの友達って女ばっかりじゃない。よりどりみどりでしょ」
「いや、友達と恋人は違うよ。レーカ姉だって男友達のが多いでしょ?」
「わたしのは下僕」
「そこでさらっとそう言う単語が出てくるのはおかしいと思うけど」
「わたしは意図して男を集めてるけどあんたは洗脳ハーレムでも作ってんのかってくらい自動的に女が集まるのよね」
「普通に友達なんだけど……」
「わかんないぞ。水面下で協定が結ばれているかもしれないし」
「……そんな協定。ありえるの?」
「ありえる。あんたって優良物件だし」
「ぼくってそんなに優良?」
「うん。引く手数多だと思うよ。姉お墨付き」
「レーカ姉のお墨付きは本当って事じゃないか……」
「おかあさんだっておじいちゃんから逆ハー作ってもいいぞって言われてたくらいだから血脈的にそうなのかもねー」
「マジ?」
「おとうさんとおかあさんに聞いてみなよ。マジな話だから」
その日の内にアリカタとレンリを捕まえた弟くんはレーカの言葉がどこまで本当なのかを聞いてみた。
「あれ? 言ってなかったか? 逆ハー作らされそうだったって」
「キイテナイ」
「お前の好きなようにすればいいよ。ちなみに追うなら複数の女を攻略しとけよ。俺みたいに捕まったら終わりだ」
「何だアリ。わたしになにか文句でもあるのか? んん?」
「いや、そう言う意味じゃなくてだな」
ソファから立って風切り音を立てながら素振りをするレンリから逃げようとするアリカタだったがこれも定めというのか即座に胸ぐらを捕まれ顔面に蹴りが入った。
久しぶりの蹴りだったのであっという間にアリカタの意識は飛んだ。
最後に目に写ったのは淡いピンクのレースおぱんつだった。
脚力さいつよお嬢に捕まった男はおぱんつの夢を見るか 初月・龍尖 @uituki
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