少年って呼ぶなし

「よう少年、今日も張り切っているな」


 出たな。おっぱいパツパツ女め。


「こ、こんにちはお姉さん」


 できれば、絡みたくない。

 こんなところクラスの男子に見つかったら、変なウワサがたっちゃうよ。


 ただでさえ、遠くのプールで泳ぐ練習しているというのに。


「波に逆らっちゃダメだぞ。水と一体化するんだ」


 わからないっての、そんな抽象的にアドバイスされても。


 平泳ぎをしているなのに、だんだんと水に沈んでいく。

 みんなと、何が違うんだ?


「よーし、私が支えになってあげようじゃないかっ」

「や、いいですから。わわっ」


 お姉さんの柔らかい手が、ボクのお腹を支える。


「その調子で、腕をかいてみろ」

「えーっ。ヒザに顔が当たるから、危ないですよっ」

「いいから。思い切っていくんだ」


 身体を支えてもらいながら、ボクは平泳ぎのフォームを始めた。


「わぁ、さすが小学生。手が細いな」

「や、やめてください」

「いいぞ少年。泳げているじゃないか」

「少年って呼ぶなし」

 


 おねえさんのサポートがあるおかげで、平泳ぎは上達していく。


「よしいいな。えらいぞー」


 お姉さんが、ボクを抱き寄せた。

 

「むむぎゅぅ!?」


 フワッフワのおっぱいに、ボクは顔を埋めてしまっている。

 

 ヤバイぞ。

 このお姉さんは、おそらく所帯持ちだ。

 こんなに美人なんだもん。

 ひょっとすると、ボクと同い年くらいの子どもまでいるかも。


 だとしたら、危険だ。

 配偶者か家族に殺されちゃうかも。


 それにしても、なんて弾力だ。


「どうした? こっちは少年じゃなくなってきたぞ」

「少年いうなって」


 前かがみになって、お姉さんの拘束から逃れようとする。


 うわ、お母さんが来た。

 大変だ。今度こそボクは殺されてしまう。自分の家族に。


「あら、ケイじゃない!」

「ああっ、ナルミパイセン!」


 共にハイレグ水着同士の成人女子が、語り合う。


「あれ、二人は知り合いなの」  

「こちらはケイ。職場の後輩よ。ケイ、この子はあたしの子でヨータ」

「よろ」


 えらい軽くあいさつをしてきた。


「泳ぎを教えていたんです。筋がいいですね」

「あ、あはは」


 話をしつつ、ケイさんはボクの脇腹を指でつついてくる。

 

「あらぁ、すっかり懐いちゃって」

 

 違う。さっきからツンツンしてくるんだ。

 お母さんから見えてないのをいいことに、おへそや乳首までくすぐってくる。


 ボクは、こらえるので必死だ。

 

「じゃああたし、その辺泳いでくるから。ヨータも無理しちゃダメよ」

「はあんっ、い……」


 思わず変な声が出そうになったが、どうにか耐えきる。


「もう、やめてよ」

「いいじゃないか。少年。わたしと少年の仲だろ?」

「少年いうなし」

 

 ちゃんと名乗ったのに。


「ナルミパイセンの子だったのか。どおりでかわいいなって」


 なぜか、お姉さんは虚空を見上げている。


「この子から堕とすか。ペロリンチョ」


 変なこと考えてない!? 

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