退魔部 VS 妖怪 神かくし下着ドロ

 オレたち退魔部の面々は、神かくし騒動と下着ドロの捕物が、同一犯によるものだと推理した。


「やっぱりだ。ここで足跡が途切れてる」


 被害者のベランダから伸びていた足跡型の霊障を追跡し、森にたどり着く。



「少女の下着をご所望とは、なんともしみったれた神様だ」

「タイゾー、どうして犯人は、下着なんて欲しがるのかしら?」


 同じ退魔部に所属するアヤカが、呆れた声でオレに聞いてきた。


「普段身につけているものって、あやかしを呼び出す触媒として最適なんだよ」


 まあ、普通はお守りとか大事にしているコレクションだとかするのだが。


 今回のあやかしは、性に直結した存在なのだろう。


「乙女の敵よ。タイゾー、とっちめてやりましょ」


 アヤカもやる気だ。森の茂みに指をさす。


「いたわ! タイゾー」


 こんなとき、異形の気配を察知できるアヤカが頼みである。


「きゃああああ!」



 そのアヤカが、悲鳴を上げて目をそらす。


「どうした」

「全裸のおっさん! キモい検定2500点!」


 なんと、神様は全裸の中年男性の姿をしているという。

 しかも犯人は、被害者の下着を身に着けているとか。

 うええ、見たくねえ。


「ぐはあ! アヤカ、ちゃんと確認してくれ。攻撃できねえ!」


オレは、あやかしに背中を蹴られた。

 

「ムリ直視できない! クネクネ踊ってて気持ち悪い!」


 あやかしのほうは、声だけは聞こえてくる。


「私を見てエエエ!」


 しかし、陽炎のようなゆらぎが見えるだけで、オレには何も見えない。

 映画の光学迷彩みたいな現象が、ゆらゆらしているだけだ。


「見てエエエ! 誰も見てくれないのオオオ!?」


 半狂乱になりながら、あやかしはなおも叫ぶ。


「なんか、自分が生まれつき透明だから、誰かの下着を盗んで身につけたら実体化できるんじゃないかって思っているみたい!」


 耳をふさぎながら、アヤカは敵を分析する。


 霊的な圧が強い下着ほど、存在感が増すようだ。


 なんて迷惑なヘンタイだよ!


「もっと見てって、いってるでしょオオオ!」

「だったら姿を見せやがれ卑怯モン!」


 どうすれば。


「アヤカ、強い霊力を持ったやつの下着ならイケルっていったよな……」

「え、今なんか背徳的なこと考えたろお前!? キモい検定20000点!」

「違うな。こうやるんだ!」



 オレは、おもむろにズボンを下ろした。


「きゃあああああああ!」

「お前はヘンタイあやかしを見ていろ! 位置だけ知らせてくれたらいい!」

「わかったうあわああキモい!」


 アヤカが、あやかしのいる位置を指差す。

 

「早くしろタイゾー!」

「くらえ!」


 オレは自分の穿いていた下着を、あやかしに投げつけた。


 あやかしの頭に、オレの下着がすっぽりと入る。


 

「ぐえええええええ!」

「不快な思いをしたまま、消えやがれ!」


 オレは、木刀を振り下ろした。 

 下着ごと、あやかしの脳天を叩き潰す。


「ふう、一件落着だな」

「どこがよこのヘンタイ!」


 アヤカのタイキックが、オレの生ケツに炸裂した。

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