シール付きのお菓子、レアが出るまで食べまくる モーレツ甘太郎 VS ヨッパライおねえさん
「
オレは、近所のスズカお姉さんに呼ばれる。
「えー、あっついよー」
夕方になって日も落ちてきたとはいえ、今日は猛暑日だ。
「いいじゃーん。お酒買うついでに、おごってあげるよー」
「わーい、って喜ぶと思った?」
「秘蔵写真のほうがいいかー」
「違うって」
お姉さんは、母とコスプレ仲間だ。
きわどい写真なども、オレに見せてくる。
それ以来、まともにお姉さんの顔を見られない。
「じゃあ、シール付きのウエハースとか?」
心を揺さぶられる。
ウエハースは好きだ。
シールは父が集めている。
とはいえ、学校で注目されるのは間違いない。
キラカードは三枚揃っている。
だが、お目当ての「胡蝶蘭つばさ 水着」が出ていなかった。
父は「大人買いスペシャル」を持ってしても、全種類コンプできずにいる。
「甘ちゃん、おんぶ」
「えーお姉さんって、でけーんだよ」
オレは、身長が男子の平均よりやや低い。
思春期まっただ中なのでしょうがないのだが。
対するお姉さんは、ストロング缶でできあがっていた。
これは立てないだろう。
「しょうがねえなー。よいしょ……っと!?」
胸に、今まで意識したことのない感触があった。
これ、地肌だ!
対するオレも、ほぼランニング姿。
地肌率がアップしている。
「どうしたー? 行くよー」
「ままままって。よいしょっと」
どうにか理性を抑え、コンビニまで向かう。
「冷蔵庫までおぶって」
「え、いいの?」
「いいよ。どうして?」
「な、なんでも」
体中が、熱くなる。ガンガンに冷房は効いているのに。
よっぱらうって、こういう気持ちなのだろうか?
スズカお姉さんは、箱買いまで許してくれた。
家に帰るときも、おぶることに。
また、地肌密着で。
「ムシャムシャ……うん、うまいうまい!」
もう忘れよう。「ウエハースおいしい!」だけで頭を埋め尽くす。
「よくそんな甘いの食べられるね?」
お姉さんが、ストロング缶を開けた。
プシュッと炭酸がはじけ、砂糖水ではない香りがオレの脳を揺らす。
「うん、ウエハース好き」
「じゃあさ、お姉さんとウエハース、どっちが好き?」
オレは、コーラと共に答えを飲み込んだ。
「あっ、これじゃない? 甘ちゃんが探してたのって」
お姉さんが引き当てたのは、「胡蝶蘭 水着」だ。
「かわいいね。今度さ、これ着てきてあげるよ」
ほっぺに、お姉さんの唇が当たる。
オレは人生で、レア以上のものを引き当てたかも?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます