第4話 幸せ

どんな会社なのか知ってもらうために工場について紹介してもらったり、見学したりした。終わった後、適性であるか訓練をしてみた。結果は、平均より上だった。責任者がすごいねと絶賛してくれた。誰かに絶賛してもらうのは初めてだったので、照れ臭くてこそばゆくなった。


 工業って悪くないな。コミュ障でも一人で黙々と作業することができるというところが良い。担当の先生の言う通りに自分の目で確かめをしに行ってみないと、良いなのか、悪いなのか明確に判断できないんだとこの現場でようやく理解できた。


 インターシップとしては良い方向の方へ進んでいるが、昨日に似たような気持ちが今にも現れている。モヤっとなっているのは、幹太さんが昂良さんの近くにポジションを取っている。昨日と変わらずに楽しそうに話している。上っ面では、「楽しそうだね」「中良いね」などつぶやきながら、口角を吊り上げた。でも…心では酷く苛立っている。キラウエア火山のように粘り気の弱いマグマが流れているように怒りが止まらない。なぜ僕が怒っているのか分からない。不機嫌を露骨に顔に出すと、「不機嫌なの?」「歩さんって気が狭いだな」と悪い印象を与えて、僕から離れてしまうじゃないか怖い。怖いので露骨に顔に出さないように、一生懸命に笑顔を装った。

 

 無理に笑うと、心にズキンと痛む。このまま痛みを伴いながら見学したり体験したりすると、僕が壊れていくような感じるのだ。早くインターシップを終わってほしいと願った。そうしたら、幹太さんに近づけられた。神様が僕の願いを聞いてくれたか?又は、心の声が聞こえていた?なぜ近づいてきたか分からないが、そんなことより近づいてもらえて嬉しい。さっきまでは、苛立つ僕がいたが、今は幸福な状態に浸す僕になった。

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