第12話魔法

・・・どうしよう。

「オレが坊主に教えたんだ。」

ミリオンさんは一ミリも躊躇った様子がない。

「なるほど。では、あなたは?」

当然の疑問だな。

「俺が住んでる時代には魔法はだれでも使えたからな。」

「失礼ですが、お年は。」

ちょっと俺も気になるから聞き耳を立てている。

「75だ。」

「えっ!!!」

思ったより年がいっている。65ぐらいかなあと思っていた。

「そうなんですか、お若いですね。確かにその時代ならそうです。」

地味な男もずり落ちた眼鏡をあげた。

「しかし、魔法を使ってはいけないというのはご存じですよね。ましてや、魔法を教えることなんて。」

そうだな、それを指摘されるとかなりまずい。どうするんだろう。

「俺たちを引っ張ってくのか?この機会に。」

そういいながらも、絶対に引っ張られる気配がないミリオンさん。

「・・・詳しい話をしたいので、建物の中に入っても?」

寒そうだもんな。


とりあえず、こたつの中に入れずソファーに座らせておくことにした。まったく座ってないからほこりも積もっているし、冷たいが我慢してほしい。

「王位継承戦、というものがいまの王都で起こっているのは知っていますか?」

知らない。ミリオンさんの方を見ると、彼も首を振った。

「知らないですね。」

あれ?というか王様ってもういるんじゃなかったっけ。王位継承戦もくそもない気がするけれど。

「現在、三代目ルージェス三世が危篤状態にいらっしゃっておるため、そこで、次の家督を継ぐのが長男か、次男か、三男か。そういう争いでございます。」

話は理解した。

「で、その話が俺たちと何の関係があるんだ。」

俺には大体読めてきた気がする。地味な眼鏡の男はそこで一回深呼吸をした。

「私は、今現在五男マッシ様の陣営に入っております。」

そういいながら、眼鏡を吹き始めた。

「ズバリ、私たちの陣営に入っていただけないでしょうか。」

彼は頭を下げた。


俺とミリオンさんは目線で会話を交わした。

【どうします?結構胡散臭い話ですけど。】

【めんどくさそうな話だな。俺としては行きたくないんだが、、、】

うーん。

「一応、聞いておきたいんですがもし入らなかった場合は、、、」

「もちろん、王都に連れていくことになります。裁判ですね、最低でも死刑。最高でも死刑でしょう。」

三権分立をちゃんとしてほしい。司法の独立を守れ、独裁国家め。

【行きます?この人倒すのは協力するのと同じぐらい面倒くさいと思いますよ】

どうするんですか?

【逃げるか、、、、どっちがいい?】

この人、連合軍に多分入ってんだよな。この先、にらまれたら動きにくくなることこの上ない。

「じゃあ、協力しますよ。何すればいいか、わからないですけど。」

「わかりました、ミリオンさんもそれでよろしいですか?」

「ああ。いいぞ。」


「寒いので、そこに入ってもいいですか?」

よく見たら、彼は体が震えそうになっているのを我慢していたらしい。

「どうぞ。」

そういったら、地味な眼鏡の男は小走りでこたつに入ってきた。ちょっと狭くなってきたな。

「実は、王位継承戦。長男、次男、三男がかなりの有力候補であるのですが」

「呼び捨てなんですか。」

「残念ながら、その三人方に関しては敬称で呼ぼうとは思えません。」

真面目そうな人だ、結構人格が破綻しているに違いない。

「あと一人、有力候補がございます。これは、民の方々には知られておりません。」

隠し子、とかだろうか。

「誰だと思います?」

眼鏡の男はそういってわらった。

「隠し子、とか。」

「前の王、だな。」

前の王、つまりおじいちゃんみたいな感じの人か。まだ生きてるんだ。

「そうです。規定上、前の王ルージェス二世にも継承権がございます。しかも、ルージェス二世には様々な人脈、資金、資本があり一番の有力候補でしょう。」

かなりの強敵なわけだ。

「というわけで、これからマッシ様のために王都に来ていただきます。我ら二人だけの陣営ですから、気にしなくていいですよ。」

前途多難な戦いが始まった。


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絶対に怯ませたいトゲキッスです。読んでいただきありがとうございます。星評価とかコメントしてもらってもいいんですよ?ランキング上がんねえかなーと思いながら過ごす毎日です。毎日寒いですが、一緒に乗り切りましょう


次回 王都



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