第6話 四天王襲来

「師匠、危なくなったら魔法使っていいですよね?」

「いや、だめだ。小僧は危なくなったら魔法使わずに逃げろ。」

「逃げれたらいいですけど、、、、」

そんな危険なときに町を置いて逃げるなんて、、、



「勇者?」

そうだ。魔王の対となる存在。魔王が強力なら、その分だけ人類が強力でもいいはずだ。

「はい、勇者です。人間で一番強い人みたいな。」

「なるほど、わかった。連合軍大将みたいなやつだな。」

連合軍大将、、、魔王は魔王なのに勇者は連合軍大将なのか。

「世界中の国が魔王軍と戦うために結束する。その大将だ。当然、今一番強い奴が選ばれることが多い。」

多い、ということは別に強くない可能性もあるのか。

「ただ、今の大将は違うな。マイネって国で一番戦争がうまい将軍がやってる。戦争がうまいだけで、やつ自体は一番強いってわけじゃねえ。もちろん、最強格ではあるけどな。」

ふーん、そういう感じなのか。じゃあ、勇者とは厳密には違いそうだ。

「急にどうした?小僧も強い奴にあこがれんのか?」

「あー、うん。まあ。」

そういうことにしておこう。一応、興味はあるしな。

「いろんなところでそういう議論はあるが、、、一応うちの国にもそこに名前が挙がるやつはいるぞ。迅雷ってのがアイツの呼び名でなあ。かくいう俺もちょっとは有名だったりしたんだぜ。」

また酒が入ったようにべらべらしゃべりだした。



数日たって、町はまた慌ただしくなった。

「どうしたんですか、フランクさん。」

作業が一段落したようなので、フランクさんに事情を聞いてみる。

「あとで詳しくお知らせする予定なんですが、実はこの国の国境が突破され、防衛ラインが総崩れになりました。その影響で臨時の防衛ラインをこの町にひくことになったので、その準備に我々は追われている。という状況です。」

えぐう。思ったより、劣勢なのかもしれない。

「連合軍の一大隊がいらっしゃるので、宿や食べ物の用意が本当に大変で。でも、もう大丈夫ですよ。連合軍の隊長がいらっしゃるのであれば、百人力ですから。」

フランクさんは、そういって笑っていた。疲れているが、何かから解放されたような顔をしている。一人でこの町を守る責任を負うのは大変だったんだろうなあ、と察しがついた。

「もし、この戦いで負けるようなことがあれば。」

「負けるようなことがあれば?」

「魔王軍優勢にいっきに傾いて、そもそもどこにいても人間は安全じゃないですから、負けたときのことは気にするだけそんですよ。はっはっはっはっは。

「はっっつはっはっ。」

腰に手を置き、豪快にフランクさんは笑った。

「ごほっ、失礼。笑えない冗談でしたか。」

「いえ、そんなに重要な戦いなんですか。」

フランクさんはいつもの厳格な表情になって言う。

「ええ、ここで勝っても別に歴史には残りませんが負けたら人類がこの戦いを忘れることはないでしょう。」



「連合軍第二大隊将軍ベルだ!!!今、まさに魔王軍がわがもの顔でこの町に迫ってきている。何千年にも及ぶ因縁の相手だ。その相手に、わが一族とその同胞を蹂躙させるわけにいかない。諸君らの大切な家族と町を壊させるわけにはいかない。我々は誇り高き人間として、絶対この町を守りぬかなくてはならない!自分の中の心に火をつけろ。今こそ、闘争本能を発揮し、大切なものを救う時だ!!!勇敢に立ち向かえ!!!!兵士たち!!!!」

「「「「「「おーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」」」」」

大地が震えあがるような声だ。勇敢な戦士たちは、腕を上げ今まさに集中をし、闘争本能を高めようとしている。

「すごいですね、あの気合の入り方。」

「初めて見るのか。じゃあ、びっくりするだろうな。俺も初めて見たときは感動したよ。」

俺たち義勇兵は、中途半端にいると連携を崩しかねなかったため後方支援部隊に回されることになった。まともな判断だな。

「南方方面注目!!!敵までの距離10㎞接近しています!!!!」

その声が聞こえてくると、兵士たちはいっせいに静まった。サンサンと照り付ける太陽によって、じりじりと汗が出る。

「南8㎞!!情報通り騎乗部隊が中心!!!」

「魔法部隊!!打ち方よーい。」

「打ち方よーい。」

魔法部隊が次々と杖を構え始めた。

「・・・・・」

「杖がなくても魔法は打てる。あった方が威力は出るがな。」

「別に何も言ってませんよ、師匠。」

「南5㎞!!!以前加速中。」

ついに、目視で見える距離になった。失明しそうな量の土煙がまっている。馬のような動物に乗って、甲冑をかぶっている。

「魔法打ち方始め!!!!」

「打ち方始め!!!!」

魔法部隊から青い光線が土煙をあげて迫ってくる魔王軍に対して発射された。花火のように、綺麗に打ちあがったそれはお手本のような放射線を描いて飛んでいく。

「着弾確認!!!!」

しかし、最前線は器用に楯を取り出しそれを防いだ。いや、一部はそれに失敗して死んでいるか。

「怯むな!!!続いて打ち続けろ!!!魔法打ち方用意!!!!」

「打ち方用意!!!!」

「打て”!!!!」

今度は、集団の左翼をまとめて狙ったようだった。青い光線が楯を貫通している。賢いな。

「魔王軍、2㎞に接近!!!」

「大楯部隊用意!!!」

「大楯部隊用意!!!」

接近が近づいている。後方支援に徹する俺もドキドキしてきた。この戦い、負けるわけにはいかない。

「あーあーあーあー。聞こえますかー、愚かしき人間の諸君。」

聞いた人間の感覚をかき乱す不愉快な声。こいつとは、一生涯わかりあえないと初対面でもわかるほどの嫌悪感を抱かせる外見。魔族と人間が戦争をしている理由が一瞬でわかった。

「魔王軍魔王筆頭配下四天王の一人、ナーバスさまだ。矮小な人間の諸君はみみっちい抵抗を早くやめなさい。全員、土まで頭をこすりつけたならゆっくりとなぶり殺しから、一瞬で楽に殺すぐらいにしてやるよ。」

戦争が、始まった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――絶対に怯ませたいトゲキッスです。やっと、書きたいものがかけてきた気がします。ここらへんで、作者を応援したいという方はぜひ星評価などを、、、、、よろしくお願いいたします。



次回!!!!混戦。

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