第3話魔法


「普通の市民は魔法を使えない?!」

「ああ、そもそも魔法というものが存在するということも知らないかもしれない。」

ミリオンさんに連れられて俺はさっきの建物に戻っていた。使古されたソファ―に座って、今はだいぶ落ち着いている。

「いいか、小僧がなんで魔法というものを知っているかはわからないが、そもそも魔法は前の王の時代から、市民に隠されている。巧妙にな。今の時代、魔法を使ったら、とんでもない勢いで衛兵たちが飛んでくる。そこから、戻らない人も多い。魔法を使われると、革命やら何やらが起きやすいからな。逆に、国の兵だけが魔法を使えたのならそんな心配をする必要はない。」

段々と、きな臭い話になってきたな。

「今魔法は衛兵だとか軍に入るか、隠れて本を読んでどうにか独学でやるかしか学ぶ選択肢はない。」

「でも、教えられるんですよね?」

「ああ。俺なら教えられる。」

何で教えられるのか、、、は聞かないほうがいいか。

「じゃあ、よろしくお願いします。」

「おう。早速、飯食ったら行くぞ。」


ごはん(おにぎりだけの簡単なものだったが)を食べ終わり、俺とミリオンさんは町から少し外れた森に来ていた。

「いいか、ここらへんで全力で魔法をぶっ放したら国軍に気づかれる。だが、あんまり深く行き過ぎると変なモンスターがいたりして危ない。だから、威力はなるべく

低めで行く。まあ、初心者だしあんまり威力は出ないと思うけどな。」

「了解。」

山道からかなり外れたところに俺たちはいた。

「じゃあ、まずイメージを練ることから始めるか。」

といって、爺さんは足を組み始めた。

「座禅?」

「お前のところではそういうのか?知ってるならわけが早いや。」

俺も足を組む。

「組んだか?次は、イメージだ。イメージ。体から炎を出す自分、水がそこの木から湧き出す様子。自分の下の土を持ち上げる様子。」

イメージ、イメージ。

「ぽっ!!!」

あれ?なんか体が熱い。

「どうし、、、、」

服が燃えている。あれ?体もか。これはまずいかもしれない。

「これって、どうやって止めればいんですか?」

火を止めようとしても止められないが。

「動くなよ、あぶねえから。」

爺さんが、手から水を出して消火してくれた。服の表面は大体焦げちゃったみたいだけど。

「ありがとうございます。ミリオンさん。」

「うーん、普通はそんな簡単に炎が出るわけないと思うんだが、、、、、いや俺も俺以外が魔法使ってるとこあんま見たことねえからそういう経験はないんだけどな。」



「いいや、これは混乱するからイメージができて、魔法がなんとなくでもできるようになったあとで教えようと思ってたんだが今教える。」

ミリオンさんは、そう切り出した。

「魔法ってのには、二種類あるんだ。自分で何もないところから炎やら水やらの物質を取り出す、物質魔法。そして、すでにあったものを操る操作魔法。」

物質魔法と、操作魔法。

「じゃあ、今僕が出したのは、物質魔法、ですか?」

「そうだ。一応得意不得意があるが、小僧は物質魔法の方に適性があるのかもしれない。」

なるほど。

「で、ここからが本題なんだが物質魔法が使えても、操作魔法が使えなかったら物質が出てきたまま、自由に活動してしまい、特に君がいま出した炎のような場合は危険なことになる。」

あー。そうかも。

「だから、最初に操作魔法の使い方を学ぼう。」



「じゃあ、比較的簡単な草を操作してみるか。」

「はい。」

足元の草が動く姿をイメージ。イメージ。イメージ。まだ、動くな。まだ、動くな。まだ、動くな。

「今!!!!」

足元の草はびくともしない。

「魔法の練習なんてそんなもんだ。諦めずにがんばれ。」

ミリオンは、そういって木の根元で寝始めた。爺だからな。しょうがない。

「草よ!!!動け!!!!」

・・・動かない。

「世界を構成せし、大自然よ。我を導き給え!!!!!」

・・・ふむ。厨二的なセリフでもダメか。

「はっ!!!!!!」

っち。うまくいかねえな。


3時間が経った。そろそろ飽きてきたぞ。

動け―動けー。動けー。

「動い!!!なんだ、風か。」

なんかいい方法ねえかなあ。

「思いついた!!」

周りの草、全部むしるか。そうすれば、自分が集中をして動かすべき対象がはっきりとして、イメージもしやすい。


こちらが1時間後のむしったあとでーす。草むらの中から、虫が出てきたりすごい大変だったぞ。

そして、再度やってみる。

「動け!!!!」

・・・・やっぱりそんな簡単には動かないな。

「動け!!!動け!!!」

・・・魔法って、簡単に使えるもんだと思ってた。映画とか見たら、大体簡単に使ってると思うんだ。


いったん休むか。土に寝っ転がる。あーひんやり冷てえな。気持ちいい。

草は目の前にある。

「動け!!!」

軽く言ったから、動くわけない、、、。すっと、草はなめらかに動いた。

「あれ?」

「動け。」

草はまた動いた。・・・いつの間にか自由自在に動かせるようになってるな。

立ってやってみると、、、できない。

「動け!!!」

言ってもできない。

転がってみると、、、できる。自由自在に動かせる。

「なるほど、距離か。」

どうやら、物体との距離で物体の操作のしやすさは変わるということらしい。

「ふー。」

魔法、その真髄の一端をつかんだのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――三が日ももう終わりですね。次からは、待ち望んだ戦闘シーンが書けると思います。


次回!!!戦闘 周大vs魔物

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る