219-準備作業の私達
「イットリウムにはカリウム様とリチウム様と羽殿が、ナイカと僕にはカントリスと恐れ多くも茶色殿と殿下の魔道具殿が付いて下さる。あとは殿下にお任せいたします。……それでは」
「「「「「「行って参ります」」」」」」
『『『行って参り(来)ます』』』
期せずして起きた『キミミチ』上映会と衝撃的な上クラス編入合格告知を経て、軽く食事を取り、皆はウレックス領とサルメントーサ領へと向かった。
よって、指揮を執るのはカルサイト君とイットリウム君。
皆を動かしたのは、あの告知後にジンクさんが説明した印章箱に入っていた周辺国の獣人売買組織を全壊させられる証拠の数々の存在。
皆もやっぱり腹に据えかねていたのだ。
その一人でもある実は眼鏡な敏腕魔道具開発局局長専属秘書ギベオンさんは比喩ではなく本当にあっという間に私が現代語にした入力済の証拠を正式書類にしてくれたのだった。
既に申請手続きが準備されていた大陸法に基づく諸々の公式文書が揃う迄は僅か数日。
その間に既に王都を旅立ったカバンシさんが運んでくれたナーハルテ様ご提案のプラティウム領地からの王都には出せない(でも勿論品質は高い)規格外の木材供出案と同様、イットリウム君の領地の花、カルサイト君の領地の木材を花は羽殿、木材は寿右衛門さん担当でリュックさんが大量に辺境区に運び込む事になったという訳。
私の仕事は魔法局の医師さんへのご挨拶。その後は王宮へ。
兄上こと第二王子殿下にお会いする為だ。魔法局局長さんにはジンクさんがご挨拶に向かった。
あ、リュックさん預かりの箱他はきちんとジンクさんに預けたよ。
今回、ナーハルテ様のお父君法務大臣閣下、カクレイさんリラシナさん医療財務大臣ご婦々、聖教会本部の皆々様(アルミナ様も)とそれからこちらの我が母上女王陛下に父上王配殿下に上の兄上王太子殿下に姉上王太女殿下、それから勿論現地でほぼ壊滅状態にしてきたハンダさんカバンシさん達と監督責任者兄上第二王子殿下に噂の辺境伯閣下……と、まだまだたくさんの方々がそれはもう、怒り心頭。
当然、私達も。
ドラゴン郵便をして下さった時にあと一押しだったのにと少し悔しそうだった下の兄上こと第二王子殿下、物凄く燃えておられるらしい。
ハンダさんも、爵位の忘却と長年の不義理を辺境伯閣下に怒られる……と頭を抱えていた時とは段違いらしい。
さすがに玉璽(陛下の御章)ではないものの、かなりの威力を備えた書類を既に用意して下さっているという第二王子殿下に会いに行くのは私一人。
でも、頼れる黒白がいるし、内蔵転移陣使用可だし!
こういう時は実家が王宮で良かったなあ、と思うよね。緊張はするけど。
そうだ、カントリス君の靴!
どうしよう、あの内履き気に入っていたからあげるよ、って軽く言っちゃったからなあ。
とりあえず浄化魔法を掛けて、一度着替えに戻るから聖教会本部準々貴賓室に置いておこうかな。
『随分落ち着いておられますね』
うん、自分でもそう思うよ。
多分黒白、前回の王宮お茶会と比べてるんだろうな。
いや、アルミナ様とのお茶会よりは遥かにね、うん。
あ、でもアルミナ様とだって、恐らく次にお会いする時はかなり緊張もほぐれる筈。
じゃあ、そろそろ医師さんへのご挨拶に伺って、それから転移しようか。
何しろ、王宮に向かう為の服装を準々貴賓室のクローゼットの前で一緒に悩んでもらわないといけないからね!
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