218-魔法局副局長執務室の私達
「羽殿、映像関連の諸々は片付けましたので亜空間の解除を願えますか。カントリス君、君は学院生皆を連れて現実の執務室に戻りなさい。ああ、理解しているだろうけれど、イットリウム君は手助けをしてはいけないよ」
「「畏まりました」」
『では、念の為の付き添いは私が』
しっかりきっかり断罪劇場終了の頃には戻ってくれた寿右衛門さん。
ジンクさんが言われた言葉に揃って応えた二人に続いて、きっちりと監督役を引き受けてくれた。
じゃあ、私は羽殿と最終確認かな。
『そうですな、印章箱は殿下の魔道具殿にお預かり頂きましょうか』
『分かりました』
『では、主殿、お先に参ります』
「はい、いってらっしゃい」
一瞬の魔力増加を経て。
カントリス君、本当に一人で皆を転移させてしまった。ジンクさん寿右衛門さんは自力だけど。
単なる転移でも人数が多くてしかも転移陣を使わないって。
これってやっぱり、あれかなあ。
『まあ、そうだと思うよ』『ですね』
『はい、ではリュック殿、こちらを』
『はーい』
多分、箱以外も全部回収したリュックさんと羽殿と一緒に黒白の内蔵転移陣で転移。
すると、
「……僕が、上クラス編入合格、しかも、カルサイトと同様選抜クラス編入の可能性が残されるなんて……」
「いや、僕もだよカントリス。まさか、僕に選抜クラス編入の可能性があっただなんて……。どうしよう……。あ、スズオミ! 彼はきっと、既に上クラス編入合格を手にしているとは考えていない筈だよ? ああでも今は年度末の試合が!」
あ、全部説明済らしい。
カントリス君とカルサイト君が目に見えて狼狽していた。
『上クラス編入試験合格と今後の指針については両名に説明いたしました。この両名の立ち居振る舞いは私が許可いたしまして問わずの誓いを行いました為にございます。ですからご容赦頂けましたら幸いに存じます』
「殿下、今更とは存じますが私も監査の役を認められております」
「了解しま、した」
寿右衛門さんにジンクさん。
ああ、はい。
まあ、そうでしょうねえ。
うーんと、やっぱりスズオミ君も上クラスには合格済だったんだね寿右衛門さん。
でも、スズオミ君は気付いてない様な気がする。
『恐らくは、そうでしょうな』
だよねえ。
今、余裕がある(様に見える)攻略対象者は選抜クラス合格済のイットリウム君だけかあ。
「とりあえず落ち着こうよ二人とも。まあ、良かったんじゃないかな。おめでとう?」
「大丈夫だよカルサイト、上クラスなら選抜クラスと一緒に受けられる授業も多いから。選抜クラスへの挑戦権を得たのだと考えて、むしろ幸運なのだと思えば良いのでは?」
「そうそう、カントリス、色々不安だったついこの間よりも良い感じよ、きっと」
「まあ、私はイットリウムが一緒で嬉しいけどね! あ、きっとナーハルテもですよね、殿下?」
イットリウム君、ナイカさん、リチウムさんの励まし? にカリウムさんのだだ漏れな本音が続く。
そうだった、問わずの誓い中だった。
術が掛けられたその場にいなかったから私達はそれ程でもないけれど、皆は、ね。
『コヨミン様』
うん、何かな黒白。
『
ああ、うん、そうだね。
『コヨミン様の周辺の方々が卓越した力に目覚められたり、真の姿を示されたり』
うん。
『何だか、あいつ、求者は、もしかしたら。』
うん? 何か心当たりでも?
『こちらからお話をしながら、申し訳ございません。今はまだ』
そうだね、今はまだ、な事があっても良いと思うよ。
私もさっき、寿右衛門さんとそんな会話をしたばかりだからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます