198-会話のナーハルテ様と私
『お待たせいたしました。辺境区にてお二人には緑殿の作業を共に、となりました。辺境伯殿へのご連絡はコッパー侯爵、お願いをしても宜しいですか』
「ありがとうございます。本日、全てを整えますわ」
一仕事終えて登場、雀さんに戻った寿右衛門さん。
やっぱり、安心。
素敵なおじ様執事様も勿論最高ですが。
アルミナ様、コヨミ王国内では公爵家と同等とされて、王宮からの王都への登城依頼さえ理由如何によっては辞意も表明可能な存在であられる辺境伯閣下とすぐに連絡ができるって、どれだけすごいお方なんだろう。
『あちらでセレン殿と多少会話を持ちまして。主殿、ナーハルテ様との会話をなされては? あちらはセレン殿達が防音他の結界を作られて、お待ちになっておられます故』
「あら素晴らしい! では私とライオネアがこちらを整えましょう。私はその後茶色殿とのお話をしますから、ライオネア、以降は守りを任せても?」
「勿論です。このライオネア・フォン・ゴールド、我が身に代えましても御身をお守り申し上げます」
『では』
寿右衛門さんの呼び掛けで、私は亜空間に転移した。
ええと、防音、と後は。
『魔法防御、物理防御諸々ですね。では、会話をお繋ぎしますよ』
ちょっと待って、心の準備をさせて!
『……ニッケル様。ナーハルテに存じます』
させてくれないまま、本物! って言うか、この状況を作り出してくれた皆さん、すごすぎだって!
そもそも、『キミミチ』の映像水晶ペンダントの小道具設定から良く思いついたなあセレンさん、とか感激してたんだよ、私。
連絡、したかったの! いつ使おうかとワクワクしていたら未だに未使用だったの!
いや、黒白とはずっと一緒だったけどね、辺境区から帰ってきてくれてからは!
『まだですか? まだ?』って催促されてましたけどね……。
「……ごめんなさ、ごめん。ナーハルテさ、ナーハルテが先に連絡してくれるかも、って待ってるのは良くなかったです、よね。私から連絡するべきだったのに。あと、君の瞳に、ってあれ酔っ払ってませ、ないから!」
『……』
え、あ、あのう。……どうしたの? ナーハルテ様、やっぱり怒っていらした?
『……。申し訳……ございません』
え、嘘、ナーハルテ様、泣いてる? 私? 私のせいなの?
そうだ、転移だ転移! 転移、転移ってこの亜空間から出来るの? いや、一度外に……。
『落ち着いて、うれし泣き!』
え。
『そうです、嬉しいの!』
あ、これは白黒?
『そうです。もしも本当に悲しいとか寂しいの涙なら、無理矢理にでも黒白に繋いで、殿下の事を呼びますよ! 良いですね?』
「……あ、勿論! むしろ大歓迎! ナーハルテ、好きな時に声を聞かせてね? 用なんて無くても良いから! あ、これ、留守電、あ、違う、そうか、音声記憶だ!……黒白、出来る?」
『出来ますよ、落ち着かれたらお聞かせします! ほら、ちゃんとあちらのお声を聞いて! ご挨拶もして下さい!』
そうだね、うん。
『本当にこの度はありがとうございました。本当に嬉しくて……。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます……』
「こちらこそ、末長くよろしくね! 任務に注力してね、体に気を付けて!」
『は、はい、差し入れ、誠にありがとうございました。また貴方様にお目に掛かれます日をお待ちしております』
「そうだ、こちらにもアイスクリームありがとう、美味しくて嬉しかった! うん、待ってるよ!」
……うわあ、感激。
『良かったですね』
良かった……本当にありがとう。
『もっと早く繋げれば……。全く、コヨミン様は』
ねえ、黒白。
私に対する呼び方が落ち着いてから、ツッコむのも精度が上がってない?
いや、機能も想像できないくらいに向上してるんだけどさ。
今は映像装置として活躍する為にリュックさんの中で頑張ってくれているスマホも、黒白や白黒の様に驚く様な機能持ちになって多分ここぞ! って時に帰って来てくれるんだよね。
このままだと更なる卓越した技術持ちのツッコミ要員が増える気がするのだけれど。
まあ、心強いよ、うん!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます