幕間-34 大好きな家族と大切な友人達と?な婚約者(4)
結局、記憶をかなり遡ってしまった。
こんなにたくさんカントリスの事を考えたのは、いつ以来だろう。
そもそも、「魔道具開発局と魔法局からのご依頼よ」とリラ母様に言われて、収監されている元魔法局副局長の業務上関連書類を何故か私とカントリス、私達姉妹の頼れる友人ナイカと婚約者のカルサイト(彼は前からナイカひと筋でかわいらしい外見という好感の持てる異性だ)、恐れながら第三王子殿下という面々で精査している関係で、今までになく、カントリスと時間を共にしているからなのかも知れない。
あとは、もう一つの理由。
エルフ族のご血縁であり、カク母上の直弟子にして聖女候補随一の聖魔力保持者セレン-コバルト(過去には多少の事はあったが、彼女を理由にするのは申し訳ないと私も思う)の母君、ネオジム-コバルト博士の指揮の下、やはり大事な任務で辺境区に婚約者と共に赴いた愛するカリウムからの速達のペガサス郵便葉書。
『素敵な事があったの。早くリチウムに話したい』
そこには、そう書かれていた。
短い文章だけれど、込められた魔力で私には分かった。
カリウムは、共に辺境区域に赴いた人物、婚約者であるイットリウムの事を好きになり始めたのだという事が。
色々な事があった様だし、総監督のお立場として先に現地入りされていた第二王子殿下がやはりセレンの身内、お父君であられる元邪竜斬りのハンダ-コバルト殿と相棒の元邪竜、現在は召喚竜となられたカバンシ殿と共に早々に戻られた事もその中の一つだろう。
確か、他国の獣人の人身売買組織への対処。
我が国とは異なり、獣人の方達に対する人権を立法に定めていない国では「人身売買には当たらない」等と言う者達もあるらしい。
それについて母様と母上は、
「「それならば相応に対応を変えれば良いのよ、第二王子殿下と法務大臣閣下達、頼りになる皆様方にお任せしましょう。必要ならば私達も助力は惜しまないわ」」と新聞記事を読みながら微笑まれていたので、まず心配はないのだろう。
聖魔力にも目覚めて全属性保持者となり、セレンと比肩する聖魔力保持者と認められたにも拘わらず、特例として聖女候補と名乗る事も名乗らぬ事もその意志に委ねられた我が友人、ナーハルテも同じ地にいてくれるので、カリウムの身については特には案じてはいない。
ただ、私が彼女に会いたいだけだ。
セレンとも多分、ナイカの話を聞く限りではかなり仲良くなれる気がしている。彼女もやはり、今は辺境区域にいるのだ。
カリウムと会えたら、何故
そうだ、そう言えば、まだお礼を言えていなかった。
私が学院の選抜クラスに入学できた、最大の理由、学術論文。
論文を完成させて提出できたのは、小さかったあの時、私の数字達を褒めてくれて、赤い手帳を渡してくれたあのかわいらしい子のお陰。
私が
ただ、あの時、あの赤いかわいらしい子に賞賛されて、私は数字達を益々愛するようになった。それは間違いない。
だからこそ私は、学術論文を完成する事も出来たのだ。
私のカントリスへの気持ちに、分からない事は多い。
ただ、ありがとうという
それは確かに私の内に、在る。
これだけは、間違いない。
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