180-ドラゴン郵便?と私
「こんにちはー、ドラゴン郵便でーす」
「たまには殿下のご自由になさっても」と、ナイカさんとカルサイト君とリチウムさんに言われて寝坊していた平日のある日。
結界とか色々付与された厳重警備の聖教会本部準々貴賓室の窓に届く声があった。
『窓に近付いて頂いて大丈夫ですよ、主殿』
天気とか諸々を察知して自動開閉(!)する魔法が付与された窓。
鎧戸、強化ガラス、ガラス窓の三重構造は貴賓室ならでは(準々だけれども)。
高い魔力があれば手動または魔法による開閉も可能なので、操作は専ら寿右衛門さん担当。
確かに、開いていた窓からは聞き覚えのある響きの深いお声。
だ、第二王子殿下? バナジウム・フォン・カルノー・コヨミ殿下だ!
墨色の髪と目の美形な王子様! ニッケル君と1番仲良しのご兄弟!(他の皆さんとも仲良しですよ因みに)
あと、お、大きいよカバンシさん!
ゲーム(『キミミチ』じゃなくて狩猟ね)の時とかミニ緑簾さんを乗せていた時とは段違い。
広げた羽も入れたらあちらのドーム型球場位はあるんじゃないの? って言ったら大げさかなあ。
でも、大きい!
宵闇色の竜に乗る王子殿下(しかもきちんとした継承権有!)、立体絵画かな?
あと、王宮の専用魔馬車と魔馬さんをそのまま背中に、って。絵本の世界ですか!
すると、ひょこっと馬車から顔を出す第二王子殿下。
「ただいま、……ニッケル。ハンダ殿達がほぼ壊滅状態にして下さった売買組織の件とかで王宮と魔道具開発局に伺わないといけないから要件だけね。緑様がナーハルテ嬢に君に手紙を、と勧めて下さったんだよ。君の手作りのおいしい差し入れのお礼! あ、どれも美味しかったけれど、鮭のおにぎりが至高だったよ! じゃあまたね! 中途での飛行停止をありがとうございました、カバンシ殿」
『いえ、それでは参りますぞ、第二王子殿下。……第三王子殿下、茶色殿、失礼いたします』
「またな、殿下! 茶色殿と魔道具の皆もまたな! ナーハルテ様達はネオジムがきちんと見てるからな! ああ茶色殿、冒険者関連は辺境伯閣下直属の辺境警備隊が制圧してくれてたぞ!」
任務の疲れもものともせず、元気。
そんな皆さんに応える私と寿右衛門さん。
「任務お疲れ様でしたー、ありがとうございまーす!」
『皆様のご活躍に恐れながら敬意を表させて頂きます』
そんな感じで騒がしくも有難い、ドラゴン郵便の一団さんは去って行った。
音声認識魔法とかは第二王子殿下かカバンシさんが使われたんだよね、多分。
拝見した限りでは王家の魔馬さんは泰然とした感じだったので、是非またお会いしたい。
あ、ナーハルテ様からのお手紙は寿右衛門さんの嘴の中にあります。
で、内容は。
推敲なく
やり甲斐のある任務だけれども、本当は共に参って頂いてお姿を拝見したかったです、と。
緑簾さんのお心遣いに感謝を、ともあった。
あと、達筆。良い香り(多分便箋と封筒の材料が香木なのでは?)。感激!
まさか、ペガサス郵便ではなくドラゴン郵便(!)で配達されているとは思ってはおられないだろうけれど。
それから私は寿右衛門さんにお願いしまくって、食材を調達してもらって天幕さんの中で第三王子'Sキッチンを実践しようとした……けれど、今日は休息日だからと全力で皆に止められてしまった。
でも、食材を自分で吟味する為の買い物は了承してもらえたから、リュックさんの中にたくさん収納してもらうんだ!
確かに新鮮美味しいコヨミ王国の食材を市場でお買い物できるのは嬉しい。
第三王子、初めての買い出し!
『この間みたいな大量差し入れでなければ、まあ……仕方ございません』
と言ってもらえたから、鮭のおにぎりとおかかのおにぎりと今日の夕食と明日の朝食と明日のボランティアに持って行くお弁当作りなら大丈夫かな?
できたらこっそりホットサンドを……。
そうだ、おにぎりを握る会。いつか開催できるかなあ。
買い出しとナーハルテ様へのお手紙へのお返事書くのは楽しみだなあ。
そうだ、楽しみのあとは。
明日からまた、私も皆と協力してカントリス君を鍛え上げるぞ!
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