159-贈り物?と私
「こんなに親身になって頂いて、これ以上何かを頂戴するのは申し訳ありませんから。そもそも、今日は異世界の品についての話が目的でしたし」
こうしていたら、もしかしたら寿右衛門さんが戻ってくれるかも。期待を込めてお二人にお伝えしてみると。
『長らくお待たせいたしました』
……聞こえた! この念話、この美声。
待ってました、寿右衛門さん!
良かった、これで何とかまた今度、に……。
なってない! これ、転移陣! 私どこに行くの?
「私達は先に向かいますから、後からいらして下さいね」
「お待ちしておりますわ。あ、この部屋につきましてはご安心下さいね。上手く対応しておきますから」
え、カクレイさん、リラシナさん。
何で私だけ転移するのに後から?
でも、大臣お二人と第三王子が行方不明、とかにはならないんですね、それは良かった。
あ、リュックさん! は自力で付いてきてくれてる。
……こうなったらとりあえず、転移陣に任せるしかないよね?
と思っていたら、ふわふわ。ふわ。
え、これ、何、柔らかい。すべすべ? かな。
白くてもふもふでふわふわで柔らかいもの、なーんだ。
クイズじゃないんだけど、こんなに柔らかくてふわふわで暖かくて優しい感触、何? まさかこれが贈り物?
『……ではないな。これは我が其方に、とした姿。存分に堪能するが良いぞ』
え、この超イケボは。
「ふわふわ様!……あ、失礼しました白様!」
『其方には呼ぶ事を許した名なので気にするでない。まあ、その名の方が呼びやすいかの。ところで、具合はどうかの?』
具合ですか? モフモフのですよね、最高! です! いつかモフモフさせて頂きたいって、まさか叶えて頂けるなんて!
白い! 柔らかい! 大きい! 癒やされる!
ああ、写真を撮らせて頂きたい!
『それはまた、あの魔道具が修行を終えたらかのう』
あ、白様、やっぱりスマさん(仮)の事もご存知なのですか。
って、白様! とにかくたいへんなお役目中でいらしたのでは? この間も抜けて頂いたのに平気なのですか。
『ああ、それは少し進みがあったのでな。実は、ナーハルテの姉二人の国の上層のもの達に、この国と其方の事情とを我が直々に話に行っておるのじゃよ』
白様曰く、まずはナーハルテ様のすぐ上のお姉様の留学先に諸事情をほぼお伝えできたのだそうだ。
確か、次姉様の留学先は、筆頭公爵家のご血縁の大国でいらした筈。
『そうじゃ。プラティウム家に婿入りした王族の国なので話は早かった、と言うても多少は時を必要としたがの。次の長姉の国は、またこれはこれで難しかろうな。確かにコヨミ王国の友好国らしく、精霊王様に深い敬意を持つ国ではあるのだが、更に幻獣王殿を深く敬う国での。まあ、精霊王様に敬意を持たぬどこぞの国とは違う、見所のある国ぞ。我が良き方向にしてみせるでな。安心せよ』
確かに、精霊王様を尊い存在とされる友好国同士でも他国は他国。精霊王様を敬いつつ、幻獣王様を更に深く、というのは想像できる。
コヨミ王国にも幻獣王様を敬う方達の為の施設はちゃんと存在するからね。
そんなところからもコヨミ王国とはまた色々勝手が異なるのだろうし、そういった意味でも白様でないといけない大切なお役目なのだろう。
……って、やっぱり! そんな時、じゃないですか!
私の為にこの素敵なお姿! お時間とか、色々よろしいのですか?
『構わぬ。其方はあの魔道具、『すまほ』を一時的に手放して、通信も控え、自身がこの国のものに、と強き覚悟をしてくれた。それに報いたくての。りゅっく、ではないのう、リュック、我が
『ありがとうございます。お師匠様。お言葉、承りましてございます』
すごいな
あと、この最高過ぎる羽毛を頂けるんですか?
じゃあ、これ? 贈答って! 嬉しいんですけど!
『贈答の品はここには存在せぬ。それの場に其方を連れて行くのは我が直弟子の茶色のものじゃ』
え。茶色のもの。それってやっぱり。
「お迎えに参りました。主殿。……勿論、我が師の麗しい羽毛を存分にご堪能なさってから向かう事に致しましょう」
この声。念話じゃなくて音声。
でも目の前の人は、雀色の髪と目の、執事服のきりりとした美形のおじ様。少しだけ垂れ目なところが一層素敵!
もしかして。まさか。
「はい、貴方様の伝令鳥、寿右衛門に存じます。お待たせしました事、平にご容赦を」
……お待ちしてました。してましたが!
何でそんなに素敵なお姿になってるんですか!
いや、いつものふわもふもとっても素敵だよ、でもさあ、ジャンル? が違うよ!
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