幕間-17 リュックさんです。

 ええと、さっきまといさんが準備をしようとしていた物は、お姉さんのさとりさんが入れてくれた月経に関する品々、それに付随する女性用の下着類(通常時用も)、避妊具だったよね。他にも医療大臣さんのお役に立ちそうな物を見繕っておこうかな。


 あ、これいいな。携帯用治療キットとミニ裁縫セット、トイレットペーパー。他にもあるね、きっと。


 心配しないでね。スマホさんが今、録音録画、写真撮影機器に特化して進化する為に頑張っている空間ばしょには近付かないよ。でも応援はするよ。スマホさん、頑張ってね!


 あ、こんにちは。

 僕は異世界からまといさんが連れて来てくれたお気に入りのリュック、リュックさんです。

 まといさん、って呼ぶのはこちらでは難しいから、僕も、何か呼び方を考えないといけないねえ。持ち主さん? 今はまといさんでいいんだけど。マトイさん、ならギリギリなのかな。


 確か、向こうでさとりさんの恋人さんの一輪先生から呼ばれていた呼び方があったんだよね。思い出したいなあ。


 そうそう、さとりさん、あれもこれもそれも、ってポイポイ入れてくれたから、もしかしたら僕はぱんぱんに膨れて、挙げ句の果てには破れてしまうのかなと心配してたんだけど、白様に色々してもらったら、破れるどころか、中身が亜空間? になって、色々な物を変身とか進化とかさせられる魔道具にしてもらえて、僕自身も色々な鞄に変身できる様になったの。


 黒白さんを長い長い時間を掛けて説得したり、一緒に異世界に来たまといさんの腕時計さんとの融合のお手伝いとか、自分でも理解不能で、何だかすごいなあ、って感じ。

 僕の為に時空魔法とか亜空間活用との併用とか、何だか凄い事をしてくれたらしいよ。


 でも、白様が僕を変転させて下さった時に『お主は自らの力については自由であれ。お主はマトイの害には決してならぬから、それで良いのじゃよ』と仰ってたからこれで大丈夫なのかな、と思ってるんだ。


 あちらの世界で一輪先生のお供をしてまといさんと色んな所に行ったのも楽しかったのだけれど、まさか、別の世界に来て、こんな生活になるとは思わなかった。


 頑張れば、念話っていう方法でお話しできるのもびっくり。でも、疲れるからあんまり話さない。慣れたら疲れないのかも知れないね。

 あと、色違いの妹リュック、リュックちゃんを生成できたのにはびっくりした。


 まといさんがあちらで、テレビの中のゲーム画面に向かって

「あー、もう素敵! 大好き!」

「いや、ゲームの中の人なのに、私は、何やってるのかなあ。……でも好き」

 とか、色々わーわー、それからしんみりしていたのを鞄掛けから仲間の皆と見ていた時に画面に映っていた綺麗な人。


 僕の妹? 妹リュック? が、あの綺麗な人、ナーハルテ様のリュックちゃんになって、幸せそうにしている。

 良かった、と思う。


 あ、そう言えば。

 まといさんは気にしていたけど、あの避妊具、凄く強い女性騎士さんに転生するのかもと思っていたのはさとりさんも一緒だから、身の危険とか、もしかしたらの異性との恋愛なんかに備えてくれたものなんだよね。


 さとりさんも、多分無理だけど、出来たらナーハルテ様と恋愛できたらいいね、ってまといさんの事を応援していたんだよ。

 本当になっちゃった。ね、恋愛できたね!


 実は、こっそり、スマホさんに頼んで僕もメールを送ったの。

 勿論、スマホさんが修行に入る前に、だよ。


 題名は、「こんにちは、リュックさんです」にした。

 文字数制限ギリギリまで、たくさん。

 メールは届いたり届かなかったりだけど、もしあちらに届いてくれたら、嬉しいな。


 まといさんが頑張ってる事。どうして一時的に通信を停止しようと思ったのか。また通信を再開できる可能性はあります、とか、たくさん。


 あと、一番大切な事。


 まといさん、良く笑ってます。


 大好きな悪役令嬢さんに会えて、婚約者になって、益々大好きになったんだよ。

 悪役令嬢さんも、まといさんの事が大好き。全然悪役じゃないよ、とっても素敵な人。

 元々、さとりさんも一輪先生も、悪役だなんて思ってなかったもんね。


 それから、僕達も、まといさんの事が大好きなんだ。

 だから、ね。

 心配しちゃうと思うけど、あんまり心配しないでほしいな。


 ね。


 お姉さんのさとりさん、お姉さんの恋人一輪先生、チュン右衛門さん、それからニッケル君へ。


 まといさんと同じで、コヨミ王国を大好きになったリュックさんより。

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