150-王立学院魔道具品評会結果発表日の私達(7)
「私は忘れない、属性に目覚めた今も。照明の魔道具を付ける際に、自身の魔力で
……言えた。ニッケル君の分まで。
まだだ。まだこのまま緊張感を持たないと。
会場は、静かだった。
泣いている? 人も見えた。
どうだろう、私の声は、届いたのかな?
『まとい様。お聞きになって』
ナーハルテ様の念話。
聞こえた。
そうか、話に集中し過ぎて、私には聞こえていなかったんだ。
最初は、パラパラとした拍手だったらしい。
それが今は、音の洪水。
「第三王子殿下、万歳!」
「筆頭公爵令嬢様とお幸せに!」
「わ、わたしはっ、魔法局に所属する者として、誇りを持ち、心より御礼申し上げますっ!」
拍手の中、そんな声が聞こえた。
この喧騒の中で? と思ったけれど、多分セレンさんか誰かが音を拾える魔法を掛けてくれたのではないだろうか。
『その通り! ナーハルテ様もいらっしゃいますからね! ほら、最後の大仕事ですよ!』
やっぱりセレンさん。ナーハルテ様も。
……そうだった!
『白様、緑簾さん。来て下さい。私の国の皆さんの姿を見て下さい』
『勿論じゃ』『おうよ!』
『マトイ様、ご準備を』
白様、緑簾さん、黒白。
「ありがとう、皆。実は、精霊王様の直参であられる高位精霊獣殿と、私の召喚獣殿に来て頂ける事になった。皆でお迎えしよう」
拍手の渦の中現れたのは。
『待たせたかの?』『現れ出でたる鬼の美少年! っすよ』
凛々しい大型の純白の豹に似た猫属白様と、紺のスーツ姿の緑簾さん?
冗談抜きで本当に美少年なんですけど!
この間のかわいいおチビ鬼さんが、緑の美少年鬼さんに。ちゃんと二本角。
『え、緑さん? 嘘! か、かわいいっ!』
うん、セレンさん、そうなるよね。
『まあこれはこれで良かろう? それよりも、皆に我らを』
あ、はい。白様。
「……こちらの精霊王様の直参の白き精霊獣殿については知る者もいるかと思う。また、映像水晶で召喚大会の小さき鬼殿を見た者もいるだろう。この小さき鬼殿は今は私の召喚獣となって下さっている。そして、こちらの伝令鳥殿は直参精霊獣殿の直弟子であられる。そして、私の召喚獣殿として控えてくれている」
人々を見ると、白様の凜々しさに感嘆する人がいた。
緑簾さんについては、
「あんなにお可愛らしかったか?」「いや、第三王子殿下の魔力の高まりで変化されたのでは?」と囁かれていて笑いそうになってしまった。
寿右衛門さんはふわふわ! かわいい!と、年齢性別問わず安定の人気ぶり。
『其方の婚約者と友人の聖女候補。あちらの両名と両召喚獣も呼ぶと良い。三人とそれぞれの召喚獣が並ぶと壮観じゃろうて』
白様に促され、ナーハルテ様とセレンさん、朱々さんと紅ちゃんにも中心に来てもらった。
三人で手を振る。
すると、また更に拍手と歓声が起こる。
本当に、この国に来られて良かった。
しみじみとしていたら、どこからか、あの方の声がした。
『ありがとう。貴方
そうです、コヨミさん。
今なら、こうして断言できます。
私
この国が、大好きです。
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