46-素敵な夢と私

 素敵な夢を見た。


 そこは、異世界になってしまった日本の、お姉ちゃんと私のマンション。

 何故か、私の雇い主だった(今はまとい王子の上司だね)准教授、一輪いちりん松葉まつばさんも部屋にいる。

 私はやっぱり第三王子ニッケル君のまま。

 今はもうこれが当たり前なのだ。


「まとい? え、何で、夢? 何でもいいや、元気だね? なら異世界の事話して!」

「あ、こよみんだ! まぬけ王子、まぬけじゃないよ! よく働いてくれてるよ」


 さすがだ。私は王子のままなのに、二人はちゃんと分かってくれた。

 ……二人共、大好き。


 たくさん今の世界の話をした。

 そうだ、もう異世界じゃなくて、あっちが私の世界。


 転生してから起きた事、会えた人、チュン右衛門さんのご先祖様、頼りになる寿右衛門さんの事。


 そして、ナーハルテ様はキミミチよりももっともっと素敵な方だった事と、王子のお友達二人、冷徹筋肉様の婚約者コッパー侯爵令息とヒロイン聖女候補セレンさんは、キミミチとは全然違って、いい人だった事。


 そうしたら、二人共、すごく安心してくれた。


「そっかあ、良かった。これであたし達もまといに言えるよ」

「うん」


 え、改まって、なんだろう?

「実はね、あたし達、恋人同士なんだ。見られるようになったら、スマホの写真データ、見てみてね。雀さんがデータを移してくれるって言ってたから」

「ごめんねこよみん、もっと早く言いたかったんだけど、こよみんに大切な人ナーハルテちゃんが見つかったから、やっと言える。言えて嬉しいよ」


 二人が恋人同士。

 そうか、私の大切な人達は、二人共が大切な人同士だったんだね。


 お付き合いしてる人がいるんだ、って言われた最初の頃、私が彼氏さんいたんだねってお姉ちゃんに言ったら「恋人」って返されたから、もしかしたら同性さんなのかなとは思ってたんだけど、まさかだったよ。


 でも、嬉しいな。


 そうか、雀さんだった時の白様も大丈夫だって言ってたっけ。

 私、確かにお姉ちゃんの恋人さんに会ってたね。


 納得したら、元の世界に呼ばれた気がした。


 寿右衛門さんが起こしてくれてるのかな。


「二人共、教えてくれてありがとう。嬉しいよ。今はもう、。あと、お姉ちゃん、リュックの中身ありがとう! 一輪先生、王子のことよろしくね! あと、王子に皆のこと、チュン右衛門さんには寿右衛門さんのこと伝えて!」


 帰らないと。

 あまりにも普通にそう言っていて、自分でも驚いた。


 二人は笑ってる。良かった。


「「分かった! でも、必ずまた、話に来てよ! スマホ、使えるようになったら必ず電話かメール! どうしてもならメッセージアプリでも良いからね!」」

 二人して同じ事を言っていた。


 そう、お姉ちゃんの会社は電話とメール以外の連絡禁止、准教授は通信アプリ嫌いだから、私達の連絡っていつも電話かメールだったね。……あれ、もしかしたらメッセージアプリでも良くなったの? 

 でも私、メッセージアプリはインストールしかしてないから、やっぱり電話かメールか手紙かな。


 リュックさんが保管してくれているスマホ、まだ確認できていないけど。


 白様の事だから、

『使えるぞ、めーるは手紙の仲間じゃろう?』

 と言ってくれそうな気もするなあ。


 目が覚めて、セレンさんを迎えに行く準備ができたら、少しでも召喚魔法の勉強をしておこう。


 次にさとりお姉ちゃんと、一輪准教授と、もしかしたら、私になった王子、ニッケル君とチュン右衛門さんにも再会できたその時に、多少なりともナーハルテ様のお役に立てたって話が出来る様にしたいからね。

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