41-精霊珠君(?)と聖魔法大導師様と私
「よくいらして下さった、コヨミ様の血族のお方」
えーと、赤毛が素敵なナイスミドル、聖魔法大導師様に丁寧にお辞儀されて迎えられました。
やっぱり何かが起きる前触れだったね、寿右衛門さん。
「いえ、こちらではあくまでもコヨミの末裔ではなく、ニッケル・フォン・ベリリウム・コヨミ第三王子としてご対応下さい。丁寧なお出迎えをありがとうございます」
聖教会本部の双璧、かつ、聖魔法の使い手としてはこの世界一の可能性大であられる聖魔法大導師様と王位継承権ほぼなしの王立学院生の第三王子だったら、大導師様の方が上だよね? いいよね?
……と、寿右衛門さんを見たら、
『主殿、ご立派です』
思念魔法、念話だって。合格をもらえた。正解だったみたい。
「分かりました。ご安心下さい。秘書官も下げましたし、防音結界は何重にもしております。私は聖教会本部にて聖魔法大導師を務めております
え、聖魔法大導師様、鬼さんなの? あと召喚獣さん?
それもだけど、勧められて座ったさわり心地と座り心地が最高なソファーがふかふかなのもびっくりだよ。沈みそう。
「ええ、コヨミ様の召喚獣として認めて頂いた折に、精霊王様から祝いにと、人として変化する術を頂戴したのです。マト……ニッケル王子殿下がお望みなら、鬼に戻りましょうか? もちろん、私は念話も会話も可能です。ご安心を」
え、いいんですか?
鬼さん、見たい! 顔に出ていたんだと思う。念話も会話も。バイリンガル?
一瞬で、赤毛のナイスミドルは、涼やかな目元はそのままに、ダンディな赤鬼さんになった。
立派な体躯。あとは、大きくて立派な角がおでこに出ている。
聖教会最高峰のお二人のみ(もうお一人は大司教様)着用が許された専用の白絹のローブはそのままだ。赤鬼さんの体に合わせて、サイズアップしている。手縫いレースの縁取りも美しい。
「うわあ、聖魔法大導師さん、かっこいい! 普段もかっこいいけど!」
かわいいさんが歓声を上げた。
そう、鬼でも人でもかっこいいんだよ。
超豪華設定資料集には聖魔法大導師様、こんなに詳しく記載がなかったけど、ハイパーは更新されてるんだろうな。
そう言えば、かわいいさんは知と和どちらの精霊珠さんなんだろう。
学院が近いからやっぱり知の精霊珠さんなのかな。
あと、絹の靴下はさりげなく聖教会の高位の方の関係者ですよアピールだったんだね。
絹は、昔から聖教会が蚕の精霊さんと一緒に発展させてきた一大産業なんだよね確か。聖教会の項目にあったぞ、うん。
「あたり。知で正解だよ。名前がないと呼びにくくて不便かな。黒曜石ちゃんが付けてくれる? 和の分もね。もちろん、すぐじゃなくて良いからね。忙しいからそろそろ帰るけど、
「精霊珠殿、ありがとうございました。会合の列席、私の分も宜しくお願い申し上げます」
「お会いできまして光栄に存じました。ぜひいずれ」
「名前、考えますね」
聖魔法大導師様、寿衛門さん、私の順にさようならの挨拶。あれ、白金って、ナーハルテ様?
「そうです。筆頭公爵令嬢はあと数時間で参られます。それまでに、状況のご説明を。まず、精霊珠殿が向かわれたのは、先般、あなた様がダンスパーティーにて断罪された学院生とその家への処断を伝える為の会合でございます。その家々で一つ、大きな過ちを更に増やした家がございまして、あなた様と筆頭公爵令嬢殿にはその過ちへのご対応をお願い致したいのです」
そう言って、聖魔法大導師様は説明を始められた。
「残念ながら、その家は聖女候補を出した家系の本家なのでございます。しかしながら、それを聖教会本部に伝えてくれましたのも、その聖女候補本人にございます……」
思ったよりも早くナーハルテ様と再会できる。
そう考えていなかったと言えば嘘になるけれど、私も姿勢を正してお話を伺うことにした。
この状況でふかふかソファーに体が沈んだら、さすがに申し訳ない。
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