22-竜族の賢きものと新たなる転生人候補と我
「
竜族の
今の我は真の姿、白き鳥の姿ではあるもののかなり小さき我である。
異世界の鳥、シマエナガを真っ白にしたら我と瓜二つとこの国の初代国王は嘗て、我に言うたものだ。
この賢きものはこの国、コヨミ王国を初代国王コヨミと共に作り上げた一人。
現在は知の精霊珠殿と共に、王立学院の学院長として若きもの達を導いている。
我や賢きものにおいては短き間ではあるが、初代国王たる異世界人、コヨミがもたらしてくれた生来の魔力を持たないもののみが持つ異世界の『気』がこの世界に
この世界の人間は魔力を活用できないもの、魔力所有者と言える程の魔力値を出せないものも全ての存在が体内には魔力を有している。
その為、この世界の『気』が全ての魔力に拠るものにならぬよう、精霊王様のご判断により、精霊王様と精霊達を否定し民を虐げるもの達を断罪し、新しき国を興すものの一人に魔力を持たずに生まれる異世界のものを認められ、転生をしてもらい、精霊王様が我に御自らお力を下さり、異世界人の精神力を魔力へと変換させる事が可能となったのである。
無論、そのものの異世界の『気』は残して。
そして今、精霊王様の直参という高位の精霊獣の我が先鋒となり、精霊王様の勅命の下、精神を転移できる精霊界のもの達を率い、嘗てコヨミの転生の際にお力を借りた異世界の高位精霊殿の助力を頂き、『乙女げーむ』という異世界の道具を用いて探し得た新たなる転生人候補。
そのものは、コヨミと同じ名前を持ち、王国の稀なる才人ナーハルテ・フォン・プラティウム筆頭公爵令嬢を敬愛するものであった。『乙女げーむ』の中のものと思うが故の敬愛であるが、あの感情は、恐らく……。
我は賢きものに答える。
「うむ。しかしまだ若い女性で、家族や仕事を大切にしている。コヨミとは異なり、旅立つ事が難しい」
「コヨミはあちらで最愛を看取り、旅をしていた者ですから。同じ様に家族を心から大切にしてはいたが、元々、旅立つ前に別れを済ませていた」
この世界と異世界とは時の進みが異なる。
それでも、新たなる候補の家族も、候補が幸せであればと考えるもの達である事は変わらぬ様だ。
だからというて、若い家族が突然異世界の住人になるなどと言われ、はいそうですかと応えられるものではなかろう。
「もし承諾を得たとして、魂を運ぶか、体ごと運ぶか。その問題もあるしのう」
「魂だけであれば、体はあちらに残せますな」
「こちらからあちらにも渡すのか? それならば誰を」
賢きものが神妙な表情をする。こちらにも候補がいるらしい。
「たわけだ馬鹿だと言うておりましたが、彼奴も最近は少しだけ成長して参りました。王家の者とは信じがたい微量の魔力量でありながら、それを認め、励む事。本人の努力が感じられます」
ああそうか。
赤き石に与えられた、異世界人コヨミの血を受け継ぐもの。
確かに、あれはあちらの世界に向かう方が良いかものう。
そう言えば、事故召喚された鬼属が心を取り戻し、もてなしに感謝し精霊界に戻る際、
「聖の魔力を借りたとは言え、あの魔力量で俺を召喚した事は褒めてやってほしいものですな」と申していたわい。
もともと魔力を持たない異世界の住人コヨミの血。そちらの血を持ってしまった
そして、魔力を持ったまま
「異世界の血を継いでしまったのであれば、戻してやるべきなのかも知れません」
「そうかも知れぬな。王家への確認は済んでおるのか」
「そちらは既に。聖教会本部との連携も出来ております」
賢きものの表情が硬い。このものも彼奴が憎くて色々と叱責していたのではない。
咆哮も小さきものへと抑えようとしたのであろう。
召喚大会のあの日も、我はちゃんと見ておったぞ。賢きものよ、其方は鱗まで出して、半竜状態で彼奴を必死に助けておった。
我よりも若い賢きものがこれ程動いておるならば、我もこの王国で動かねばならぬのう。
「有難い。ならば、我も
待っておってくれ。
……我も、動こうぞ。
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