第2話 少年
誰かが森の中へ歩いていこうとしているのが見える。
またいつものように、狩りに行かれるのだろうか。そう思って俺は、爺様を追いかけた。
だが、いくら走ってもなぜか追いつけない。声を出して呼ぼうとしても、一言も発せられない。
そうしているうちに、距離がどんどん開いていく。ますます俺は必死になったが、その一方で、妙だなと感じ始めた。
爺様はもう、この世にいらっしゃらないはずだ。
そう気づいたら、すべてが
少し離れた所で何か、かたっ、ことん、と音がした。物でも運んでいるような、日常にありふれた音。
やや薄暗いが、物はちゃんと見える。どこかの建物の中か。
寝ている感触は、土の上にしては
そこまで考えて、はっきりと目が覚めた。
確か、何かがぶつかってきて、意識を失って、その後――。
「気が付かれましたか」
そう声をかけられて、どきりとした。
聞き
声のほうに顔を向けると、少年が一人、こちらに近づいてくるところだった。
俺より少し年下に見えた。十五、六歳だろうか。
髪は
いや、それより何より。
「……
思わずそんな言葉が、口からこぼれ落ちた。
それぐらい、少年は整った顔立ちだった。目元といい、
容姿のいい奴は身近にもそれなりにいたが、ここまでの美形を見たのは初めてだった。
きっと女にもてるに違いない。うらやましい。
少年は俺のかたわらに静かに座ると、こちらの顔をうかがいながら、
「お加減はいかがですか?」
とたずねてきた。
俺は、自分が寝たまま彼を見上げていることにはっとして、
その途端、左肩に激痛が走った。
「っ!」
「横になったままで
少年に制止されて、俺は再び身を横たえた。
改めて我が身が置かれている状況に目を向けると、寝かされているのは
体の上には、
ここはどこぞの小屋の中のようで、
簡易な
いったい、何がどうなっているのだろう。
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