My intuition.

 


 車の傍でホームを眺めながら俺はチカに感じている疑問を放り投げた。

「で? 何のつもりだ? 俺ら3人を集めて」

「変な勘ぐりはよせよ。兄弟が集まるだけだよ」

「チカ、スポーツマンってのはさ。ただ運動神経がいいだけじゃダメなんだよ。なんて言うか、勘ってやつも重要なんだよ」

「へー」

「で、だ。俺の勘がビンビン言ってんだ。何かあるってな」

「んー。まあ、すぐに解るよ」

 チカのその言葉でピンときた。

「ああ、ユウの事か」

「そうだよ。見て驚け」

「なんでお前が威張るんだよ」

「俺も驚いたから、さ」

 そんな話をしていると下り電車が停車したが先ほどとうって変わって人が降りてこない。

「なんで上り下りでこんなに違うんだろうか」

「なんでだろうね」

「そういう時間なんだろ」

 今日2度目の俺と同じ声がかけられた。

 振り向くとユウが居た。

 隣には上から下まで真っ黒のヒトガタが居た。

「やや。キイ、久しぶり。チカは、そうでもないか」

「やあ、ユウ。ちゃんと来られたんだね」

「ああ。今日はしっかり準備したから大丈夫だ」

「ん」

 その黒いヒトガタはユウの服をつんつんと引っ張った。

「ああ。キイ、紹介するよ。俺の妻。アマちゃん」

「えー? えー-ええ?」

 俺が目を見開くと、横に居たチカが吹き出した。

「驚くよなあ。俺らの中で一等婚期が遅そうなユウが一番乗りだからなあ」

「マジ……、マジかー。でも相手が合法ロリなチカとアイドルな俺……。相手が見つかれば一番早いのはユウに、なるのか?」

「え? キイの彼女はアイドルなの?」

「まーね。飲み友達みたいな感じだけどさ」

「あ、アマさん。シユとキイの彼女が車の中に居るから先に行っていいよ」

 チカにアマさんと言われたヒトガタは小さく頷いて車の中に消えていった。

「ユウ。この時期にあの格好は暑くないか?」

 当たり前の疑問にユウは頭をかきながら

「大丈夫、だと思う。厳選した冷感素材の物ばかりだし、これもある」

 そう言って肩にかけた保冷バッグを少し持ち上げた。

「まあ、お前がいいって言うならいいけど」

「それよりも、そろそろ出発しない?」

 チカの言葉に俺とユウは頷き車に乗り込んだ。

 

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