My japanese doll.
ぴちぴちと言う鳥の鳴き声で目を覚まし布団を押し退け呻き声を上げながら伸びをする。
「んー? 知らない天井、いや天蓋だ」
天蓋付きのベッドなんてこの家にあったっけ? そう思って横へ顔を向けるとシーツの様な真っ白なモノが見えた。
色素の抜けた髪。
透明感溢れる肌。
豊満な胸。
すらりと長い手足。
東洋人とはとてもとても見えないその顔立ち。
「あれ? 事後??」
俺がきょとんとしているととっくに目を覚ましていたらしいアマちゃんが俺の顔を両手で引き寄せてキスしてきた。
「ユウは寝ぼけていた方が恰好良いからね」
「俺、自分の部屋で寝たんじゃなかったか?」
「寝ぼけてワタシの部屋に来たのよ」
「嘘だな。俺は1回寝たら起きねえよ」
俺が一刀両断するとアマちゃんは顔を歪めて舌打ちをした。
「はいはい。女の子がそんな顔しないの」
「ユウだけよ。ワタシを女の子って言ってくれるの」
「ハイ嘘。コミュニティでは言われ慣れてるでしょ?」
「ワタシがユウ以外に友達居ると思う?」
「あれ? まえ言ってなかった? 会議の話」
「……WEB会議はボイチェン使ってるし画像は固定、ワタシの姿を知ってるのはユウだけなのよ。本当よ?」
「マジ? マジで言ってる?」
「マジもマジ。ワタシが外に出ない理由。知ってるでしょ? あれ、WEBカメラでもダメだから」
「え? あれマジなの? しかもカメラ越しでもダメなの?」
「嘘言ってどうするの? まあ、あれが無くてもワタシは外には出ないわ」
「だから通販サイトをこんなに使っていたのか……」
「割と便利よ? まあ病気になったらアウトだけど」
それよりも、だ。
「話しながらずっと俺の事を撫で続けるのはどうなのかと」
「だってえ。ユウが可愛くってえ……」
「俺ってそんなに女々しいか?」
「女々しいって言うよりも”愛らしい”だわ。ワタシが手元に置きたいぐらい、ね」
「アマちゃんの美意識で言うと俺はどんな部類なんだ?」
そう聞くと「日本人形」と即座に回答があった。
「着物で着飾ったらそりゃもう愛らしいお人形さんになるわ」
「そりゃどーも」
俺が投げやりに返事をするとアマちゃんは一度目を閉じてから黒い笑みを浮かべた。
「今度、着物を買うわよ」
いや、マジで俺を日本人形にする気かよ。
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