1-24 コミュ障、汚名返上クエスト。
☆再編集いたしました。by厨二ファイター☆
「んじゃあ、よろしくな兄ちゃん。」
「危なくなったらちゃんと助けるから、安心しな!」
「硬い硬い!肩の力抜きなよ!」
「は、はぁ、あ、ありがとうございます。」
「ウォン!」
同行する3人のおっさん冒険者に励まされながら東の森の奥へ進むケンゴとハク。
なぜこんな状況になったのか。
話は30分ほど前に遡る。
ーーーーーーーーーーーー
「おはよう、あの陰険メガネどこ?」
「ブフッ、、、、」
「ちょ、ちょっと、リリィさん、、、、」
「・・・・」
午前8時半の鐘が鳴る頃、ケンゴ一向はギルドのカウンターに集まっていた。
来て早々、不機嫌そうなリリィの悪口が受付嬢に飛ぶ。
「え、えーっと、陰険メガネですか?」
「そう、そいつに難癖つけられたからここに来たのよ。」
「んー、メガネをかけた方、、、、ちょっと読んできますね。」
受付嬢はそう言ってカウンターの奥に行く。
「たく、自分で呼び出しといてなんでいないのよ、しんじらんない。」
「本当ですね!受付係の風上にもおけません!」
「研修からやり直した方がいいかと思われます。」
「み、皆さん、そ、そこまでにしときましょう。」
悪口が止まらないリリィ、イリス、レナをケンゴが宥める。
そんなふうに待っているとカウンターの奥から昨日の陰険なメガネ受付係が現れた。
「遅れて申し訳ございません。既に夜逃げした後かと思いまして。」
開口1番、性格の悪い嫌味を吐く受付係。
「大丈夫よ、あんたが時間通りにくるような大した人間だと思ってないから。」(リリィ)
「そもそも嫌いなので、あんまり評価は変わってないので謝らなくていいですよ!」
(イリス)
「あなたと出会ったこと自体運の悪いことなので、気にしても無駄と思っております。」
(レナ)
「うわぁ、、、、」
「ワーオォゥ、、、、」
受付係の嫌味に対して10倍返しくらいの嫌味を返した3人にドン引きするケンゴとハク。
「チッ、、、、」
受付係は露骨に舌打ちした後、依頼の説明をした。
「今回私が出す依頼は、東の森の奥、ティアマト湖周辺の異常調査です、なんでもあのあたりのモンスターの魔獣化率が高まっているらしく、ひどい怪我をする冒険者の方々が後を経ちません、依頼として出しているのですがいかんせん受けてくれるような高ランク冒険者の方々は遠方に行ってしまっているようなので、ちょうどいいので今回こちらを選ばせて頂きました。」
そう言って一枚の詳細の書いた紙を渡す受付係。
「どんな魔獣がいたのかの説明、湖や森の状況、そして最低でも3体の魔獣の魔石の回収をお願いします。」
詳細に目を通したリリィ、イリス、レナは自信満々に言葉を返す。
「こんなんでいいの?楽勝よ!」
「私たちなら大丈夫です!」
「お任せください。」
しかし、そんな3人に受付係はニヤリとしながら言い放つ。
「いえ、あなた方は参加できませんよ。」
「「「は?」」」
「「?」」
陰険メガネ受付係の言葉に疑問を浮かべる4人と1匹。
「あなた方はBランクとAランクですのでね、今回この依頼は普通に達成してしまうでしょう。」
「「!?」」
「あんたまさか!」
何かに気づいた3人。
受付係はニヤリとしながらケンゴを見る。
「しかしケンゴさん、あなたはEランクだ、しかしこの依頼を達成することによって、皆さんと遜色ない実力を持った冒険者だと証明しなければならない、違いますか?」
「え、えっと、、、、」
言われたケンゴが言葉を返そうとするが、それよりも早くリリィとイリスが言葉を返した。
「あんた、本当に最悪な陰険メガネね、」
「絶対友達いませんよね、」
それに対して、少し眉をひくつかせながら受付係はケンゴに問いかける。
「どうしますか?おとなしく罪を認めますか?」
それに対してケンゴはこう言った。
「やります、やらせてください、必ずや達成して見せます。」
それに対してリリィ達も答えた。
「ケンゴくんなら大丈夫よ、しっかりみときなさいね、陰険メガネ。」
「後から条件変更とかしないでくださいね!あなたならやりかねませんから!」
「よりにもよってケンゴ様を選んでしまうとは、見る目がおありですね。」
それぞれの皮肉の込められた返事にイラつきながら答える陰険メガネ受付係。
「一応言っておきますが、私の名前はミーゴです、覚えてくださいね。」
「なんで?いやだ。」
「頭に入れたくありません!」
「嫌いな人の名前を覚える人などいませんよ。」
「「・・・・」」
相変わらず容赦のない嫌味を言うリリィ、イリス、リサ。
ケンゴとハクはもう何も言えなくなった。
「チッ、わかりました、では今から開始となります、ただ今監視の冒険者を呼んできますので少々お待ちください。」
そう言ってミーゴは奥へと消えていった。
「ケンゴくんなら大丈夫よ、頑張って!」
「信じてます!行ってらっしゃいませ!」
「行ってらっしゃいませ、ケンゴ様。」
3人に激励されたケンゴは決意のこもった顔で答える。
「皆さん、必ず達成してきます!」
「ウォン!!!!」
ーーーーーーーーーーーー
そして今に至る。
「にしてもあのミーゴって受付係、いけすかねえやろうだな。」
「まったくだぜ。」
「あの性格が顔に出てやがる。」
3人のおっさん冒険者達は口々にミーゴの悪口を言う、どうやらミーゴの評判は最悪のようだ。
「兄ちゃんも大変だなぁ、でも安心してくれ、俺たちは兄ちゃんの味方だ!」
「「おう!!!!」」
3人の言葉を受けてケンゴとハクはお礼を返す。
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「ウォン!!!!」
3人の熱い言葉にケンゴとハクは感謝を伝える。
「自己紹介がまだだったな、俺はドルゥ。」
長剣を背中に携えた立派な髭面のおっさん冒険者が名乗る。
「ビルだ。」
大楯を携えたスキンヘッドのおっさん冒険者が名乗る。
「ショーンだぜ。」
ダガーと投げナイフを獲物にしている角刈りのおっさん冒険者が名乗る。
ケンゴも改めて自己紹介をした。
「ケ、ケンゴと言います、こ、こっちは相棒のハクです。」
「ウォン!」
相変わらず目を合わせられないケンゴに対して元気いっぱいに返事をするハク。
「おう!よろしくな!」
「さっきも言ったけど硬くなるなよ、お前さんはしっかりと合格させてやるぜ。」
「そうだぞ。」
そんなケンゴの様子を見たドルゥ達は優しい言葉をかける。
「あ、ありがとうございます。」
「大丈夫だよ、そんなことより、、、、」
「ああ、到着だぜ。」
4人と一匹が親睦を深め合っている時、既に目的地に到着した。
ケンゴの目の前には巨大な湖が広がっていた。
「ここがティアマト湖だ。」
「こりゃあ確かに様子がおかしいな。」
「ああ、」
ドルゥ達がそんなことを口にする。
「そうですね。」
「ワウゥン、、、、」
ケンゴも湖の様子を見て同じことを思った。
その湖は森に囲まれていて普段は美しい姿をしているのかもしれないが、現在は薄い霧に覆われて、周囲にはどんよりとした空気が広がっていた。
「何か起きてるのは間違いねえ、気を引き締めようぜ。」
「そうだな、」
「偵察は任せろ。」
ドルゥ達はそれぞれ獲物を構える。
「ほら、ケンゴも構えな。」
ドルゥは武器を構えようとしないケンゴを不思議に思いながら声をかける。
「わ、わかりました。」
そう言いながらケンゴは全身の筋肉を力ませ、そして力を抜く。
「おい、武器は持ってねぇのか?」
まったく武器を構えようとしないどころか武器らしいものを出そうとしないケンゴを不審に思うビル。
「あ、いや、その、僕は武器術は習ってなくて、その代わり格闘術なら、その、」
不安そうに答えるケンゴに驚くショーン。
「お、おいおい、大丈夫か?それ?」
「その、本当にダメだと思ったら、容赦なく見捨ててください。」
ケンゴは不安そうに答えた。
「まあ、世の中いろんな奴がいるからな、きっと大丈夫さ。」
「そ、そうか、、、、おい、来たぜ。」
ドルゥの言葉に納得したショーンが鋭い目を前方の木々に向ける。
ケンゴも前方から感じる気配に目を向ける。
「プギィ!!!!」
すると木の間からドルゥ達ほどの体躯の大きなイノシシのようなモンスターが現れた。
「マッドボアか。」
「ああ、目が赤いな、魔獣化してやがる。」
ドルゥとビルがモンスターの様子を見て言った。
「さて、まずはお手本を見せてやるぜケンゴ。」
そう言って大楯を構えるビル。
「プギィイイイイイイ!!!!」
それを見たマッドボアはとてつもない勢いで突進した。
「オラヨ!!!!」
そこにショーンがナイフを投げる。
放たれたナイフは正確にマッドボアの右前脚に命中する。
「オラァア!!!!」
「ピギィ!!!!」
勢いよく前にこけたマッドボアをビルが大楯で弾く。
「あらよっと!!!!」
そして弾かれたマッドボアの先に回り込んでいたドルゥが長剣でマッドボアの首を刎ねた。
「ざっとこんなもんよ。」
ドルゥが鼻をかきながら言う。
「す、すごいです!」
「ウォン!」
一連の流れを見たケンゴが3人を褒める。
「礼を言う前に、」
「ああ、また来るぜ。」
「・・・・」
3人は再び目の前の木々に目を向ける。
(さっきよりも気配が強い。)
ケンゴは木々の方から感じる気配に違和感を覚える。
「ピ、ピギィ、、、、」
再び現れたマッドボア。
「さて、お前ら同じ奴やる、、、、」
ドルゥがビルとショーンにかけようとした言葉を止める。
なぜなら目の前に現れたマッドボアが突然倒れたからだ。
よく見るとその背中には巨大な爪で抉られたような傷があった。
「おい、どう言う、」
「ドルゥさん!警戒してください!何か来ます!」
気の抜けたドルゥに叫ぶケンゴ。
するとビッグボアの亡骸の後ろからとてつもなく巨大な影が現れる。
「グヴヴヴヴヴヴヴ、、、、」
現れたのは長い爪を携えた筋肉質で巨大な熊だった。
「な!?」
「嘘だろ!?」
「ワイルドベア、、、、」
その姿を見たドルゥ達は絶句した。
「お、お前ら!しっかり構えろ!じゃねぇと、、、、」
再び言葉を止めるドルゥ。
なぜならワイルドベアは一匹だけではなく、周りを囲むように何体も出てきたのだ。
「「「「グヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!」」」
全てのワイルドベアが赤い瞳をしており涎を垂らしている。
「な、なんでだよ、索敵はしっかりしてたぞ!」
突然現れたワイルドベアの群れに慌てるショーン。
「多分だが霧とマッドボアの気配で紛れてたんだろうな。」
ドルゥが冷静に答える。
「ガァアアアアアアアア!!!!」
そんなドルゥ達に一匹のワイルドベアが肉薄し、爪を振り下ろす。
「グゥヴヴ!!!!」
それを防ぐビル、しかし威力が高すぎて完全に相殺しきれていない。
「オラア!!!!」
ワイルドベアの動きが止まったところに斬撃を叩き込むドルゥ。
しかし長剣はワイルドベアにはまったく効かなかった。
「クソ!!!!」
悪態を吐くドルゥ。
「ガァアアアア!!!!」
「グワァアアアア!!!!」
再び振るわれた腕の一撃で吹っ飛ぶビル。
「ビル!!!!」
吹っ飛ばされたビルに駆け寄ろうとするドルゥ。
「待て!ドルゥ!」
ショーンが叫んだ。
その隙を狙って他のワイルドベアが爪を振るったのだ。
「!」
自分の視界にワイルドベアの腕が入ったドルゥ。
スローモーションのようになった世界で覚悟を決めながらも防ぐ体制をとり、少しでも生存確率を上げようとする。
その時だった。
「破ァアアアア!!!!」
ケンゴが腰の捻りを加えた飛び蹴りをワイルドベアの頭部に叩き込む。
「ガ、、、、」
ワイルドベアの頭はちぎれ、近くの木に叩きつけられる。
「「「な!」」」
衝撃の光景を見て驚くドルゥ達。
「まったく、次から次へと、一体何が起こってるんだ?」
そう言いながらケンゴは左構えをとる。
目の前には10体ほどのワイルドベアの群れ。
「行くよ!ハク!」
「ウォン!!!!」
ケンゴの叫びにハクが答えた。
立て続けに起こる魔獣の襲撃。
一体何が起こっているのだろうか。
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