1-19.5 キース達の苦難
「皆さんおはようございます。」
「「「おはようございます、師匠!!!!」」」
「ウォン!!!!」
「・・・・」
変異ゴブリンや獣害などの事件が終わり、平穏が戻った日の朝。
ケンゴとハク、キース、リサ、ウィルは街を囲う壁の外の開けた場所に集合していた。
「あ、あの、その師匠呼び、なんとかなりませんかね、、、、」
3人の勢いに困るケンゴ。
「いや、師匠は師匠なんで!」"キース"。
「教えてもらうのに今まで通りじゃダメだわ!」"リサ"。
「僕がケンゴさんからいろんなことを学ぶためにも、まずは形から入りたいんです。」
"ウィル"。
「ハァ、、、、」
どうにもならないことを悟り、ケンゴは諦めた。
今日、キース達は稼業を休みにし、ケンゴに稽古をつけてもらうことにしたのである。
「ま、まぁ、まずは、ウォーミングアップですかねぇ、ランニングからやりましょうか。」
「「「はい!」」」
とてつもなく元気な返事をする3人。
「じゃあ5週してください。」
ケンゴの放った一言にきょとんとする3人。
「師匠、5週ってのは一体どこを?」
キースはケンゴに問いかける。
「え?えっと、この、、、、」
「広場ですか?どこからどこまで、、、、」
「この街です。」
「「「え?」」」
理解ができず困惑する3人。
「いや、その、こ、この街です。」
「「「本気ですか?」」」
3人は理解したくなかった。
なぜなら彼らの拠点であるノルンの街はなかなか大きな規模である。
一周するだけでもかなりの距離がある。
それを5週とはちょっとしたマラソンレベルだ。
「とりあえず行ってきますね。」
そう言うとケンゴは先に走り出してしまった。
「いや!」
「ちょ!」
「待ってください!!!!」
慌てて後を追いかける3人。
必死について行こうとするがどんどんとケンゴの背中は小さくなっていく。
「いや、嘘だろ!」
「あれ絶対ランニングのスピードじゃないわよ!」
「速すぎます!」
とてつもないケンゴのランニングのスピードに驚く3人。
それから約30分後。
「ゼェ、ゼェ、ゼェ、」
「ハァ、ハァ、ハァ」
「ヒィ、ヒィ、ヒィ」
結局ケンゴが5回彼らを追い抜いたところでようやく一周した彼らを見てケンゴはランニングを切り上げた。
「30秒ほど休憩しましょう。次は腕立て伏せです。」
「30秒!」
「いや、あの、」
「ちょ、ちょっと、、、、」
3人は何かを言おうとするが、既にランニングについていけなかったので、次こそは食らいつくと言う覚悟を決めて言葉を飲み込んだ。
「よし!始めましょう。ノンストップで500回行きます!」
「「「え!?」」」
「始め!」
3人の驚愕した声はケンゴには届かず、腕立てが始まった。
それからしばらくした後。
「うぅ、グゥ、、、、」
「し、死ぬ、、、、」
「こ、これほどとは。」
キース達は大の字になっていた。
あれから身体が悲鳴を上げるまで腕立て伏せとスクワット、バービージャンプをやり、既にキース達は虫の息だ。
「み、皆さん、だ、大丈夫ですか?」
「クゥーン、、、、」
そんな3人の様子を見て心配になるケンゴとハク。
「だ、大丈夫だ、ぞ、」
「ま、まだ、、、、やれる、、わよ。」
「や、やり、、、、ます!」
そう言うと彼らは震えながら立ち上がった。
「み、みなさん、わかりました!」
そんな3人の姿を見たケンゴは稽古を続ける決意をした。
「じゃあ、今度はあの木の枝で片手懸垂を両手共に500回やります!」
「「「え????」」」
3人の顔は絶望に染まった。
それからまたしばらく経ったあと。
「「「・・・・」」」
あまりのキツさに3人は全く喋れなくなっていた。
「みなさん、本当に、大丈夫ですか?」
ケンゴは再び3人の身を案じる。
「師匠は、すげぇな、こんなことを毎日、、、、」
「しかも、ウォーミングアップ、、、、」
「・・・・」
自分達とケンゴとのあまりにも大きな差に落ち込む3人。
「そんな顔をしないでください、ぼくだって最初からこんなことができたわけじゃないんです。」
ケンゴはそんな3人を励ます。
「赤ちゃんだって最初から歩けたり喋れたりするわけじゃないでしょう?少しずつ、少しずつ成長するんです。」
「「「師匠」」」
ケンゴの言葉により表情に少し明るさが出た3人。
「それに何より、みなさんは自分を変えようと行動した。それは何よりも大きな一歩です。」
ケンゴの激励を受けた彼らは再び立ち上がる。
「続きをお願いします、師匠。」
「私も。」
「よろしくお願いします。」
3人の目には強い力があった。
「わかりました。」
それから3人は組手や技の稽古などありとあらゆる稽古をした。
そして1週間程活動できなくなった。
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