Ⅳ 機能

私は初め、人工知能もこれまでと同じ電算機コンピュータの話でしょ?

などと思っていました。

しかし、それは動力機関と電算機コンピュータを、

同じ機械だからといって同視するような誤りでした。


冒頭でも述べたように、従来は人間だけが行えた、

一般法則の発見と応用という知的活動の本質的な部分を、

機械に支援・代行してもらえるようになるというのは、

全く新しい分野を開拓する、技術革新です。


しかも、電算組織コンピュータシステムの演算・記録・通信能力は高いので、

その学習能力は人間よりも桁違けたちがいに大量高速であり、

同じ状況なら忘れることなく迅速的確に法則を適用し、

学習内容を他の電子頭脳に広めることも簡単確実です。


小規模電力を広域・安定集配するには、どうしたらいいか?

必要な性質の物質を見つけて作るには、どうしたらいいか?

事故や渋滞を防ぐため、どう運転や交通を制御したらいいか?

ある内容を他の言語に、どう翻訳・表現したらいいか?

人間同様の仕事ができるロボットを、どう作り、動かすか?

顧客需要により良く応えるには、どんな商品や販売法がいいか?

人々の生活や健康を改善するため、どんな助言をしたらいいか?

新たな治療薬やワクチンを、どう開発・製造したらいいか?

様々な子供達を教育する時、どんな個別的配慮を行えばいいか?

国民の満足度を高めつつ行政費用コストを下げるには、どうすべきか?

……それらに必要な法則性を発見・活用し、

情報提供や機械操作をするのです。


こうした機能を持つ人工知能は、

人間の頭脳にはえぬほど拡大し、複雑加速化する、

技術や政策、経済・社会活動を運用していくうえで、

必須の技術だと思います。

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