第30話 画策

ワッシュ達は再び闇市を訪れていた。


「ファルスはここへ再び来る・・・そうだな?」


「ああ。」


タノスが返事をし、そのまま説明する。


「さっきオークション会場の関係者に聞いたが、予想通り次のオークション開催日程を一部の客に知らせているらしい。」


「そんなことよく教えてくれたな、賄賂か?」


縞が不思議そうにタノスを見る。


「・・・ああ。


それでだ、ファルスはその確認をするために数日後必ずここへ来る。


縞の黒子は一つか二つ離れた異世界なら存在できただろう。」


「おう、それで黒子をここに配置しておくわけか。」


「そうだ。


縞の黒子は縞自身に視覚情報を伝えられる・・・


ファルスが来たら、今度は逃げられない。ワッシュが杭を刺せば解決する。」


「皆さん、本当に便利な能力ですね・・・」


カーナが言う。


「・・・能力を便利に使えるかどうかは使用者次第だ。


どんな強力なものだろうと使い方を間違えれば死ぬ。」


「タノス!そんな危なっかしいこと言うなって~。」


「事実を言ったまでだろう。」


「そうだけどよ~!」


二人のやり取りを見るワッシュは、何かを思案するような様子で黙っていた。








「あの闇市には戻らない。」


館の一室で話す三人。


ファルスのその言葉にレシンが思わず声を上げる。


「何故だ?」


「いや・・・何か妙な予感がしてな。


五日経ったとしても待ち伏せされていたらと思うと・・・」


「そこまで待つか・・・?」


「普通は待たないだろうな。


だが引っかかるんだ、あいつら。」


「・・・」


「だから、奥の手を使う。」


「アイツか。


あんまり頼りたくはないな。」


「わかってる・・・だが今回はそれで行く。」




「五日後、俺とレシンで闇市には寄らず情報屋の元を訪ねる。


情報屋への連絡は明日、レシンに頼んでいいか?」


「ああ。面を被っていくよ。」


「すまないな・・・」


申し訳なさそうにするファルスに、イェサルがお茶を注いだコップを持ってきた。


その日、花園に囲まれた館の一室の重い空気が晴れることはなかった。

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