第11話 抗う僕……(5)
すると蠅王【ベルゼブブ】の黒き肢体に何発か、僕の口から吹き矢のように飛ばされた白き、いや、透明の甘い結晶が蠅王【ベルゼブブ】の黒き肢体へと直撃! フィット! したみたいだから。
蠅王【ベルゼブブ】の奴は、己の持つ透明な悪しき翼をバタバタではなくて、『ブゥ~ン』と、何とも言い難いというか? 奇妙? 変な音?
まあ、弱々しい音色と言っても過言ではない翼を鳴らして、僕の前から。
そう、蠅王【ベルゼブブ】の奴は、僕【蜜キンカン】に恐れ慄き、上空へと飛び上がり。立ったのだ。
だから僕は自身の目を上空へと向けて──。
「キル、ユー! こんちくしょう! くるならきてみろ! 今度は、その薄い羽根に穴をあけてやるからなぁあああ~!」と。
蠅王【ベルゼブブ】に対して、睨みつけながら勇んだ台詞を吐いてやった。やったのだ。
そう、僕は蜜キンカンの分際で、魔王の一人である蠅王【ベルゼブブ】を撃退。撃退する事に成功したのだ。
だから「どうだ~? 僕は、凄い! 凄い~! 蜜キンカンだろう~」と。
僕の周りにいる同じ【蜜キンカン】達へと凛と勇んで告げてやったのだ。だが……。
う~ん、でもね? 仲間達と、いうか? 僕と同じ【蜜キンカン】からまた反応が全く無く。
『ショボン』としながら。「はぁ~」と溜息を漏らし気落ちをする僕だったのだ。
◇◇◇◇◇
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