第8話 抗う僕……(2)

 そう、落下! 急に落下していくのだから。『コロコロ』と音を立てながらねぇ。


 だから僕は、「うぉおおお~!」と、「うそぉおおお~?」と、驚愕しながら叫ぶ。叫んだのだ。


 余りに急! 急に僕の丸い身体が動き、ではなく転がり始めたから驚愕! 驚嘆を放ったのだ!


「うわぁ~」とね。


 でっ、その後僕が己の脳裏で思った事は?


 僕の最初の思い。思案。計画通りに事が運んでくれれば良い。良いと思いながら。僕の丸い身体が【蜜キンカン】達の山の頂上付近から落下していく様を見詰め、嘆願……。



 そう、僕がこのまま、大きな竹細工の篭から飛び出て地面に落ちて、『どんぐりコロコロ』ではないが。この場。この場所から退避。逃げる。逃走する事が出来ないかと。僕は願を込めながら。己が、身体が、転がる様子と、自身の瞳に映る景色と光景を見詰めながら願う。願を込めるのだが……。


〈ポテ〉


〈ピト……〉と、言った感じで。僕の丸い身体は止まる。停止。沈黙に入ったのだ。この大きな竹細工の篭から僕の身体が飛び出す事も無くね。



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