第23話

「ムーンライト2周年記念スマ〇ラ大会優勝ペアは、星城・月城ペアです!」


 すべての試合が終わり、優勝したのは龍一先輩たちのペアだった。

 月森さんに表彰されている二人に俺と白星さんは拍手を送っていた。


「悔しいね」

「……ですね」

「もうちょっとだったのにな~」


 白星さんの言う通り、もう少しだった。

 月森さんたちには申し訳ないが、俺たちの試合が事実上の決勝戦と言ってもいいほどの熱戦だった。

 勝負を分けたのは、たった1回のミス。 

 それだけだった。

 だから、本当に悔しい。

 俺は気が付くと涙を流していた。


「正彦君?大丈夫?」

「あれ、おかしいな……涙が、止まらない」

「涙を流すほど悔しかったんだね。ごめんね。私が足引っ張っちゃって」

「いえ、そんなことは……」

「勝ちたかったよね。私がもっと上手だったら」

「白星さんのじゃありません。俺がもっと練習してればよかったんです」

「ううん。私のせいだよ。私が弱いから……」


 白星さんまで泣き始めてしまった。

 

「次また機会があったらリベンジしようね」

「そうですね。次は絶対に勝ちましょう。2人で」

「そうだね。2人でたくさん練習して勝とう!」


 2人でのリベンジを誓い合うと同時に表彰式が終わって、龍一先輩たちが俺たちのもとにやってきた。


「川崎。楽しい勝負をありがとう」

「こちらこそありがとうございました」


 月城先輩を握手を交わす。


「リベンジ、いつでも待ってるわ。やられっぱなしで終わるような川崎じゃないでしょ?」

「そうですね。このリベンジは必ずさせてもらいます」

「ちなみにこのお店では2か月に1回スマ〇ラ大会が開かれてるてるんだけど、私はほぼ毎回参加してるから。リベンジしたくなったらいつでも来なさい」

「なら、このリベンジは2か月後に果たさせてもらいます」

「そう簡単にいくかしらね?」

「楽しみにしててください」


 俺が「負けませんから」という笑みを浮かべると、月城先輩からも「負けないわ」という微笑みが返ってきた。


「本当に2人はいいライバルだね」

「てか今更ですけど、2人が手を組みむとかズル過ぎませんか?」


 1人1人がプロ並みの腕前なのに2人が手を組むとか反則に近い。

 そう考えたら俺たちはよくやった方か、2人を残り1機まで追い込んだんだから。


「僕もそう思ったんだけどね。美弥妃が一緒に出たいって言うから」

「だって、龍一と一緒に出たかったから」


 頬を少し赤くしてボソッとそう呟いた月城先輩はすっかりと乙女の顔になっていた。

 何を隠そうこの2人は許嫁同士なのだ。

 高校生の時に龍一先輩は月城先輩のことを世界一愛してると公言しているし、月城先輩は龍一先輩のことを宇宙一愛していると公言するほど仲のいいカップルだ。

 それは2人と同じ時に星永学園に在学していた生徒なら誰でも知っている周知の事実だった。

 本人たちに面と向かってこんなこと絶対に言えないがバカップルだ。


「龍一、最近忙しそうで私に構ってくれなかったじゃない」

「それはごめんね」

「いいの。別に謝ってほしいわけじゃないし、龍一が頑張ってるの知ってるから。ただ、少しは私にも構ってほしいの」

「美弥妃に寂しい思いをさせてごめん。その代わりではないけど、今日は寝かさないから」


 龍一先輩がそんな甘い言葉を俺たちにまで聞こえる声で囁くもんだから、月城先輩はもちろん俺も、隣にいる白星さんも、何なら俺たちの周りにいる人たちまで顔を赤くしてしまった。

 

「ねぇ、私にもあれ言って?」

「言いません!」

「だよね~」


 それから俺たちはお店の閉館時間までいろんな人とゲームをしたり話したりした。 

 こうして、いろんな感情になった1日が幕を閉じた。

 

☆☆☆


 ゲーム&ブックカフェ編終了!


 ぼちぼち甘々になっていきます(笑)

 

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