第21話

 何とか昼食を食べ終えた数時間後。

 いよいよゲーム大会が始まろうとしていた。


「お集りの皆々様!ただいまよりムーンライト2周年祭特別企画スマ〇ラ大会を始めたと思います!参加される五組の皆様は前にお集まりください!」


 え、あの人あんなキャラだったのか……?

 開店前にカウンターで静かにコーヒー豆を燻っていた大人しそうな女性の従業員さんの前説に俺は驚いていた。

 

「ほら、正彦君行くよ!」

 

 白星さんに背中をポンっと叩かれ俺は白星さんと一緒に前に出た。

 他の参加者も前に出てきている。

 龍一先輩と月城先輩ペア。

 月森さんと望月ペア。

 後の2ペアはおそらくこのお店の常連だろう。

 共に男子ペアだった。

 そして、俺と白星さんペア。

 どうやら、この5ペアで行われるようだ。

 

「皆さん出揃ったようですね!では、まず皆さんにはくじ引きを引いてもらいます。各ペアの代表者は前にお越しください」


 どうしますか?と白星さんのことを見ると、ニコッと微笑まれた。

 どうやら行けということらしい。

 俺は「行ってきます」と従業員さんの元は向かった。


「とうとう始まるね」

「ですね」

「こうやってスマ○ラで対戦するのは3年生以来かな?」

「に、なりますね」

「そういえば、ボランティア部、廃部になるかもしれやいんだって?」

「な、何でそれを!?」

「僕が何も知らないと思ったかい?」


 龍一先輩はニヤッと悪い顔で笑った。

 精神攻撃を仕掛けてくるとは・・・・・・。

 どうやら本気らしい。


「俺たちが卒業するまでになんとかします!」

「そうか。期待してるよ」


 ポンっと俺の肩を叩いた龍一先輩はくじを引きに行った。

 動揺してしまったが大丈夫だ。

 後1人、後1人探すだけなのだから。

 なんとかなる。

 とりあえず深呼吸をしよう。

 今は試合に集中だ。

 龍一先輩の次は俺の番だった。

 といっても、俺は一番最後だったので、対戦相手は必然と決まった。

 龍一先輩たちとは2回戦目に戦うこととなった。

 

「対戦カードが決まったところで、本日の優勝商品の発表をしたいと思いますー!本日の優勝商品はなんと!な、な、なんと!ペア温泉旅行チケットです!」


 そう言って従業員さんは2枚の温泉旅行のチケットを高らかに天に掲げた。

 

「ペア温泉旅行チケット!?絶対に欲しい!」


 白星さんは目をキラキラと輝かせてそのチケットを見つめていた。

 

「あれゲットしたら一緒に行こうね!」

「え、俺とですか?」

「他に誰がいるのよ!」

「か、考えときます・・・・・・」


 俺がそう言うと白星さんは満足気に微笑んだ。

 

「では、これより第1回戦を始めます!1回戦に出場する選手は前に!」

「それじゃあ、行こっか!」

「頑張りましょう」

「期待してるぞ正彦君!」


 1回戦目は俺たちのペアと常連組みだった。

 

「では、皆さんキャラを選択してください!」


 それぞれ自分のよく使っているキャラを選択する。


「皆さんキャラを選び終わりましたね!では、私のカウントダウンに合わせてスタートしてくださいね!皆さんいきますよ!」


 いつの間にか俺たちの周りにはギャラリーがたくさんいた。

 そんなギャラリーも一緒に従業員さんと声を合わせて「3・2・1・スタート」の掛け声を言った。

 その掛け声を合図に第1回戦が始まった。


☆☆☆


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