第2話 ほおずき?
〈スマートフォンの会話形式アプリで〉
かおり:今日の新商品の発売前チェックではお世話になりました。おまけに帰りに先輩んちにお邪魔したりして…。(^_-)
紗英:マーケティングの参考になるための本がうちにあるから寄るように言ったのは私の方よ。
かおり:玄関先の予定だったのにお手洗い借りに中までお邪魔してしまいました。(*_*)先輩のマンション、スタイリッシュでミニマリズムというのか、クリーム色で統一されたスッキリしたお部屋ですよね。
紗英:わが社の万能クリーンクローゼットを使っているもの。それに余計な物は置かない主義なの。
かおり:そうなんですねぇ。あ、でも意外な物が。(・o・)
紗英:意外な物?
かおり:リビングルームの隣のスペースの洗面台のある窓辺に飾ってたの、変わったオブジェだなって思って見てたんです。すりガラス越しでよく見えなかったんですけど。オレンジ色と赤でほおずきに似てるなって。
紗英:ほおずきって?
かおり:先輩は都会育ちだから知らないですかねぇ。田舎のおばあちゃんちでは、お盆によく仏壇に飾ってたんですよ。
紗英:何か縁起悪いわね。私、そんな花、飾っていないから。
かおり:そうですよね、色が自然じゃないから、花ではないと分かりました。それでも何だか懐かしい気がしてよく思い出してみたら、夜店のヨーヨー釣りの風船じゃないかって。きっと親戚の子が置いてったんですね。
紗英:……
かおり:ほおずきの事は
紗英:どういう事?
かおり:私、夜店のヨーヨー釣りを見ると夏を感じるんです。それで勝手にうれしくなるんです。先輩は仕事一筋の人と思ってましたけど、昨日私と同じかなって気がしたんです。
紗英:意味不明なんだけど?
かおり:だって親戚の子が来てたのは休暇の前だから二週間位前の話ですよね? なのにまだお祭りの物を飾ってるのはそういう事でしょ?
紗英:あなたって人は。どうでもいいけど今後、余計な想像力を業務中に発揮しないでちょうだいね。あと、顔文字の猛襲はもう勘弁ね。私、笑顔の顔文字、好きじゃない。
***
〈かおりとユウキの電話での会話〉
かおり:こんな感じよ。
ユウキ:確かにおまえの顔文字、時々ムカつく。
かおり:もう!
ユウキ:ヨーヨー釣りの風船ってどんな場所にあったんだよ?
かおり:バスルームの横にあるキャビネットと洗面台がある小さいスペースでね。白で統一されてたの。だから余計目立ったんだ。
ユウキ:余計なものは置かない性分だろうしね。
***
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