6. インナーチャイルドを癒すとは?


 自分の中にある子供時代の私にちゃんと向き合わなくてはならない。

 そう決めてから色々調べ始め、ある日ネットで「インナーチャイルド」という言葉を知りました。


 直訳で「内なる子供」とはなんともピッタリな言い回しですよね。


 インナーチャイルドとは……子供時代の記憶や心情だったり、自分の心の中に住んでいる子供の自分を指すものだそうです。


 関連記事を読めば読むほど自分に当てはまるような気がして驚き、俄然「インナーチャイルド」を癒したいと考えるようになりました。


 しかし、ネットには心理学者や占い師によるセラピーが世間に溢れていて、大抵そういう類のセラピーって一様に高額です。


 それに「インナーチャイルド」というモノが心理学的なものか、それとも心霊やスピリチュアル的なものなのか…非常に難しい概念ですよね。

 もしかしたら、簡単に素人が手を出してはいけない――そんな思いがあります。



 そのうち私は色々と考えているうちに、自分だけで「自分を救い出す術」はないのか?と思い始めました。


「自分で癒す」をキーワードに関連記事を探しましたが、調べた当時は書いてあることがスピリチュアル的なものが多く、どうすればいいのかわからなかったです。


 ある記事には「インナーチャイルドと会話してみる」とありましたが、私にはどうしてもうまくイメージができませんでした。


 過去に、自分でパニック発作を抑えるために頭の中で繰り広げていた空想とはワケが違う。そう思ってしまうんですよね。



 だって、例え心の中で「インナーチャイルド」というものを設定して作り出しても、それは私にとって都合の良いパペット(人形)にしかなり得ないと思ったからです。


 自分の中に確かにあるものに、触れる。

 ――ただそれだけなのに、こんなにも難しくもどかしい思いをするとは……。



 私はある時、思い立ちました。

「自分を解放してみよう」と。


「解放する」とは……とにかく自分のために泣いてみること。でした。

 涙を流す行為は心のデトックスになるはずだと思ったんです。



 早速私は「泣くための時間」を取り――挑戦を始めました。

 この挑戦は、当然ながらすぐに上手くいくわけがなく……

 私は何度も何度も泣き続けました。


 そして何度目かの試みで、私は、ある不思議な体験をしました。

 ここでその出来事を紹介させてください。


 ※ここで記す私の方法は、完全なる自己満足なもので100%の方法ではありません。

 すごく自己完結なもので、まったく専門家の方の意見を取り入れたものではないのです。

 人によっては心の負担が大きく、一人で行わないほうがいい場合もあるかと思います。


 ただ、実践した自分の中で少しだけ変化したことや、気づきがあったと感じています。

 あくまでひとつの例として「こんなことがあったんだ」と理解していただければと思います。




 これはひとりきりの空間で存分に泣いた状態で、起こった出来事です。

 この時私は脳裏に焼き付いたトラウマを思い出し、存分に泣きました。


 はじめはその当時の自分の気持ちで、その後は大人になった自分が幼いころの自分を想って、感情の動くまま、思うさまに泣いたんです。


 涙にむせび、約1時間ほど経った時、そろそろ泣き止まなくては、と思いました。

 でも涙はなかなか止まりそうもありません。


 その時、とっさに口をついて言葉が出ました。

 これは言おうとして用意していた言葉ではなく、突然出てきたものでした。


「いつか迎えにいくから、それまで待ってて」


 そうつぶやいた瞬間、ピタッと涙が止まったんです。

 これは自分ですごく驚きました。


 あまりに泣き続けていたために、一瞬でも「内なる子供」と繋がることができたのか…?

 自分の中に残り続ける、まさに「内なる子供」を実感した瞬間でしたね。



 それ以来、私は「自分の中の幼い私」を甘やかすようになりました。

 一人きりの時には、幼い時の私が言ってもらいたかった言葉を口に出してみたりします。

 口に出した方が、心で思っているより伝わるような気がしています。


 改めて調べなおした結果、グリーフワーク(負の感情を言葉に出したり、書き出したりして抑圧された感情を解放すること)など具体的な方法がありました。


 やはり「抑圧していた自分を解放する」ことが癒しに繋がっていくのかもしれません。



 ひとの痛みはひとそれぞれです。

 結局、実践してみた人の心が少しでも軽くなるならそれでいいと思うんです。


 その痛みはその人だけのものなのですから。


 少しだけ、不思議な体験ができた。

 これが、私なりの自己完結型「インナーチャイルドを癒す」方法です。

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