第3話 サマダの豪遊
太陽が真上にいる真っ昼間、ニンジン城のそばにある城下町では、住民がいつものような平和な生活を送っていた。
ニンジン城で1番高い三角塔の上に立っているサマダは、そんな景色を遠目で眺めていた。さて、まずはご馳走様でも頂こうか、と思っているようで、サマダは国一の繁華街を探した。そして、見つけたのか、その方角を睨むと、背中から翼を生やし、鷹のように素早く飛んでいった。
城内は、大混乱になっていた。王が大量の血を首から流し瀕死状態になっていることは、軍内で広まっていた。その情報は、当然のことながら、国の軍隊長、魔法剣士モモや俊足のキュウリにも伝わっていた。
モモとキュウリは、兵士の混乱を抑えるため、分隊長達に命令し、訓練広場に兵士達を整列させた。
広場の高台にモモは登ると、「勇者サマダがこの国を裏切った。王の首に剣を通しやがったんだ。これは、幾ら世界の英雄とて、許させる行為ではない。直ちに、1番隊2番隊は、キュウリの指示に従いサマダの捜索を。まだ、この国いるはずだ。3番隊は城を守りつつ、地下研究室の調査。」と声を張った。
兵士一同は、ハッと大きな声をあげ、広場は慌ただしくなった。モモは、高台を降りてすぐ、キュウリに近づき「サマダは魔王を殺した人間だ。我々2人かかってしても勝てるかどうか分からん。きっと、クロをここに呼んだほうがいい。だから、お前の閃光伝書鳩を貸してくれないか?」と尋ねた。キュウリは二つ返事で了承すると、懐から電気を帯びている鳩を取り出し、取り出している間にモモが書いた手紙をくくりつけて、空へ飛ばした。
キュウリは門に向かって走りだし、モモは3番隊を集め、彼らに細かな指示を与えた。
その頃、サマダといえば、黄金に輝く屏風に囲まれた広部屋で、豪遊していた。右と左に美女を3人ずつ抱きかかえている。大きな机を数個くっつけたところに、巨大なタイやヒラメ料理に高級牛肉スパゲッティ、国一美味い野菜炒めなどを並べ、それらを彼女らに食べさせてもらっていた。
彼は、愉快愉快と言いいたげな顔を浮かべ、ニヤニヤとしている。しかし、流石に量が多過ぎたのか、半分くらい残すと「もういい」と店の大将に言い、威嚇するように机を蹴った。大将は腰を低くして、ゴマをすりながら、「へいすぐ料理を下げます。」と返事した。しかし、サマダは、「今はいい」と断ると、美女達を残して扉を閉めるように言った。
キュウリが城下町を探していると、サマダが西角屋で豪遊してるという噂が聞こえた。キュウリはすぐその店に向かうことにした。
キュウリと噂を聞きつけて集った数人の兵士達は、店に入りすぐに店の大将にどの部屋か尋ねた。大将は、ビクビクしながら、「サマダ様。ええ、向かって右奥の大部屋でございます。」と答えた。
キュウリ達は、その部屋まで走り、扉を蹴り飛ばした。中を覗くと、そこにはサマダの姿はなく、なぜかドロドロ状の魔物がいた。
「なぜこんな場所に、魔物が居るんだ。サマダはどこだ。」キュウリは、苦悩の叫びをした。
彼は、側にいる兵士達に命令して、陣形をとらせた。そして、必殺「閃光神斬改」を6体全てに繰り出した。
彼の大技、いつもなら全滅しているはずの魔物がまだ消滅していない。キュウリは、それらが強い魔物であると察した。もう一度、同じ攻撃を食らわせるとようやく魔物は全滅した。
キュウリは、部屋を出て、大将に「サマダが本当に居たんだな?ここに。」と聞く。大将は、「へい、いたはずです。しかし、さっきの魔物はなんだったのでしょう。うちの店の選りすぐり美女達もいませんし。」と返事する。そう言いつつ、大将もさっきの魔物達が美女達だと気づいているようであった。
この現象について、キュウリは閃光伝書鳩伝いで、兵士全体に報告するのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます