第10話

 塾の帰りの夜道をテスト前という事で大量の情報を詰め込まれて疲れ切った俺は歩いていた。

 授業の時間は守ってくれ。

 延長は地獄だ。

 人で溢れ返るホームをかき分けながら前に進む。

 電車が止まっていたがそれには乗らずベンチに座る。

 そして、佐藤さんが休んでいた分を写すために貸していた日本史のノートを見ながら暗記する。





「起きろーー。早くーー。電車行っちゃうよ。」


 と言って肩を揺すられる。

 目の前に女の子がいる。

 思わず、可愛いなと見とれてしまった。


 どうやら、勉強しながら寝てしまっていたようだ。


「あーあー、電車行っちゃった…」


 そう言う佐藤さんに悪いなと言いながら次の電車を一緒に待つ。

 俺は、アイドルと塾の帰りに一緒に帰るんだぜ。ウェーイ!


 火曜日、金曜日の9時45分それが俺と彼女との待ち合わせ。

 いつのまにか、その電車に乗って一緒に帰っている。

 アイドルとしての悩みや面白かった事など色々な事を話してくれる。

 俺は気の利いた事は言えないが、向こうの顔を見る限り楽しそうにしてくれていると思う。


 そうして今は、駅のベンチで俺が問題を出して佐藤さんが答えるといったテスト勉強をしていた。


 だが、俺はさっきからずっとこっちを見つめる誰かの視線を感じていた。


 そこに1人の女の人が近づいてきた。


「怜ちゃん、その人は?もしかして、彼氏?」


「彼氏じゃないです!ほんとに違います!学校の友達です。」


「へー。」


 佐藤さんが教えてくれた。

 この人はあの木下りんごなんだと。

 やばいやばいやばい!

 ウェーイウェイ!

 変装をしてるから顔はよくわからないがおっぱいは分かるぜ。

 でけぇー。


 あのー。佐藤さん?軽蔑する目で見るのやめてもらえますかぁ?

 視線が冷たいですよー

 おっぱいは男のロマンだ。

 俺が悪いわけじゃない。


(佐藤、こんな人が好きなのかな。狙ってたりして。この男落として、お前の目の前でデートしてやるよ。)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る