第8話


「山本ー。お前、佐藤さんと仲良いけど、好きなのかよ。なんか、地味じゃね。」


 変態男撃退事件以来仲が良い。

 あの後、あれは全て妄想だったのかとか想像かもなぁと思ったがどうやら本当のようだ。

 アイドルは忙しいらしく、歌やダンスのレッスンやテレビ、ラジオの収録なので休みがちになっている。

 だから、友達のいないぼっちで地味の佐藤さんはたまーに俺に話しかけてくる。

他の人には気づかれないようにそっとだけど。

 彼女がアイドルな事は俺しか知らない。

 やばい、俺はあの桃田怜と友達かよ。

 ニヤニヤが止まらなくなるぜ!


「別にそんな関係じゃねーよ。そう言う布川、お前はどうなんだよ?」


「俺は巨乳でエロいお姉さんにしか興味はねえな。」


 ここでフルセブを布教するのが信者というものだ。

 信仰が厚すぎる俺はきっと神に救われるぜ。

 実際、神には褒美という事で怜ちゃんと友達になった。

 さすが、神様ですなぁ。


「木下りんご。いかがでしょう。」


 布川お好みのどストライク。らしい。


「俺、このお姉さん推すわ!」


 このままフルセブの沼に突き落としてやろう。

 と、思った時、佐藤さんがやってきて、布川には聞こえないくらいの声で話す。


「山本君、あの勉強教えてくれないかな。」


「えー、期末前だからかー。もしかして、中間やばかった?」


「全然、勉強してないから仕方ないの!忙しいんだし。

 それに期末もやばかったら夏休みが補習漬けになっちゃうじゃん。

夏のライブ、出れなくなるんだけど…」


「それはやばいな…まあ、いいよ。」


「良かった。ありがと。」


「俺も教えてよー。響きゅん。」


ていうか、なんでお前が聞いてるんだよ。


「お前は嫌だ。」


「友達だろ。」


「はーい、私も教えてほしいでーす!」


 皆さん、ご存知だろうか?

 マンガやラノベにいる金髪ギャルや黒髪美少女は存在しない事を。

 仮にいたとしてもイケイケ学校にしかいないのだ。

 ポケモンGOの伝説の方が出現率は高いんだよ。

 よく覚えていて欲しい。

 

 意外とクラスでモテるのはみんなに優しくそこそこかわいい人になったりする。

 それが今話かけてきた、いたって普通の女の子ちゃんだ。

 そう、あの隣の席の早坂ひなだ。

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