32:カザドールの凶行
ある部屋
壁面に投影された複数のCG
「それでは、お待ちかねのイベントが始まりまーす!。」「おーーーー!。」「いいね~!。」「アーティストはどんな面子?。」「少年院帰りゾンビレンジャーです、ははは!。」「凄いね、レンジャー!伝統的な5人組か?いいじゃん。」「盛り上がりますよ~。」「ぺルラ君、現場だっけ?。」「そうそう映像担当。」「楽しみ~。」
コミュニティー近辺
「次の角、右かな?。」「なんでナビダメなの?。」「警察権力だよ。」「あー犯行声明効いてるねー。」「えーー、で、次の次を右で直ぐ。」「ほーい。」「そろそろ。」「この辺か?。」「だね。」コミュニティーから20m程手前に2台の黒いバンが停まる。複数の人影が車から降り、車の影に輪になって集まる。「お前がここ、で、あっちゃんはここ、ケイはここ、、、。」と手書きの図を指さしながら確認している。「あ、俺はクルマの中から操縦するから。」と少し後ろで背を向け何かをセッティングしている。「じゃ、準備。」という合図で2台のバンから段ボールを降ろす、薄暗い中でしゃがみ込んでごそごそと作業をしている。
壁面に投影された複数のCG
「そろそろカウントダウンですねー。」「1分前。59、58、。」「そっから?!。」「確かに!。」口元だけが大笑いのCGの人物達。「あ、13、12、11、。」
コミュニティー前の人影、手元でスマホがぼんやりと光っている。他の人間の手元にスマホより強い光が灯る。スマホを持った人間が声を上げた、「10、9、8、7、。」徐々に声が大きくなる、「6、5、4、。」声が複数に、「3、2、1。」「いっけー!!。」5人は狂ったように叫びコミュニティーに火炎瓶が投げ込まれる、複数の箇所から投げ込まれた火炎瓶、パチパチパチと火の爆ぜる音があちこちに広がる、その音は徐々に大きく広がり、そして庭の木々に燃え移る。複数の真っ赤な魔物がゆっくり立ち上がりウネウネと揺れているように見える、炎はどんどん大きくなり、ゴオーーーと空気がゆっくりと渦巻く音が響きだす。その音と異様な気配で住人が目を覚ましだす、状況が分からないまま、明るい窓側に住人達が集まる、窓から炎を見た住人は最初何が起きているのか分からず呆然としていたが、「ぎゃーーーー!!。」っという悲鳴でパニックが起きた。「火事だ!。」「逃げろ。」泣き叫ぶもの、動けない者に手を差し出す者、「早く行って。」と女性や年よりを誘導する者、建物の中を逃げ惑う住人達。伴田らが率先して「落ち着いて。だれか通報してください。」と声をふり絞る。病気の為に素早い動きが困難な者も多く、中には諦めからか、動かない者も居る。朱色に染まり混乱する建物と対照的に暗い車中、中の男は無表情にジョイスティックを操作している、コミュニティーのパニックを眺めているが頭の中では別の事を考えていた。男はもう一台のスマホを取り出すと位置情報と‘’#火事‘’というタグを付けた。
ある部屋
壁面に投影された複数のCG
「空撮さぁ、共有まだかな?。」「遅いね。」「トラブったかな?。」「電波トラブルです。」「平成かよ!。」「ま、後出しって説もあった。」「おれアリバイ作りで飲みに行きまーす!。」「えー、じゃ俺も~。」「明日のニュースをお楽しみにぃ。」
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