23:ゾンビ狩り
2月28日 深夜
深夜の路上
ダダダダダッ、ドン、「なに?!。」ドン、「痛い!!。」「っるせー!!。」「黙れ!!。」「嫌!。」「静かんしろ!!。」ドスドス、「やっちゃえ。」「うーっす!。」「やめて、いや、いや、やめて、やめて、お願いします、やめて、やめて、いや、いや、ぎゃー、ぎゃー、、、。」ガン!、ガンガン!。「はぁーぁーはぁー。」「はは!、ひゃー!。」「やっちゃった、、、。」
ある部屋
壁面に投影された複数のCG
「おつかれです、ちょっと報告っす。」「なん?。」「どうも、ゾンビ狩っちゃったらしいっす。」「マジかぁー。」「さすがにヤバくね?。」
2月29日 昼
佐久間の部屋
※夢を見た※
ゴッ、、、ゴッ、、、ゴッ、、、
鈍い振動
(ごめん、ごめん、、、)
止まらない
ゴッ、、、ゴツ、ゴツ
(許して、、、)
ドロっとした感触と温い粘る臭い
(わかってんだろ)
(大丈夫?、、、大丈夫?、、、大丈夫?、、、大丈夫?、、、)
背中に手が周り体が浮く
体がフワっとして、視界が青くなる
(飛んでる?)
アンドロギュヌスの手が私の手を掴んでいる
飛んでいる
町が見える、通りを行く
(この間見つけた本買っとくか?、あ、でも急がないと)
(あ、新しいマンション出来たのか?前なんだっけ)
目の前に噴水
ゴッ、、、
意識がフワっとなった
全身にドンという衝撃
ゴッ、、、ゴッ、、、
(ぃたねーんだぉ、ぇめー)
ゴッ、、、ゴッゴツ
ミシッ、鼻から温い血が溢れ、口に逆流し鉄臭い味がする
湯船に顔を付け鼻から湯が入って咽せるように、咳き込んだ。
ゲホッゲホッ、ゴッ、(きたねーははは!)ゲホッ、ゴッ、ゴッ、(おもしれー)
(舐めろよ、おい、舐めろ)
ゴッ、、、ゴッ、、、
(もういいかな、疲れたな)
ぼんやり遠くを見ると人が走ってくる
ぼんやり見ている
なんだか怒鳴り声とかが遠くで鳴っている
その人を見ているとハンモックで揺れている気分
ユーラユーラユーラユーラ
ギュン!って高く飛んだ!高い所から見下ろす。
(お前がやったのか?!)
(知るか)
急に引き上げられる
どんどん引き上げられる
(ぎゃーぎゃーぎゃー)
(なんだ????)
アンドロギュヌスが大きな石の前で叫んでいる
(ぎゃーぎゃーぎゃー)
そして物凄いスピードでこちらに向かって来る
(あ!)目を閉じると
顔に凄い風と羽根の感触
目を開くと、視界の上ギリギリの黒い影が
黒い影を遮るように羽根がいくつも舞っている
アンドロギュヌスは、こちらに向け怒りの声を女の顔は嘆きの声を何度も何度も叫ぶ
その叫びは、次第に言葉になり、こちらに何かを伝えていた。
※※※
(寝てたのか?)昨日から曖昧な眠りと覚醒を繰り返して、夢と現実が混ざっている。夢をぼんやり思い出しながら、炭酸水を取りに行こうとキッチンに行く途中、シンクに目が行き、ほとんど無意識に蛇口を捻り顔を洗い口を濯いだ。今までシンクで顔を洗うなどした事の無く、他人事のように不思議に思った。喉が渇いた事を思い出し、冷蔵庫から冷えた炭酸水を取り出し一口含むと、口の中で炭酸の発泡が終わるのを待って飲み込んだ。冷たい水が急に体に入ったせいか、胃の辺りが詰まったような感覚になり、吐き気がする。ヨロヨロとトイレに行き便器を抱えるが、喉がゲっと鳴り、気の抜けた炭酸水に胃液が混じった物を2、3度吐く。食道が胃液のせいかヒリヒリする。トイレの壁に背もたれに座り込む、ここ数時間の事を思い出し感じたことの無い脱力感が全身に染み渡る。「つかれた、もういいや、、、。」と呟いた自分の言葉に、(あー、中学の時に虐められた時も、こんなだったな、、、。)と中学生の自分を理解者として自分と自分が慰め合った。(よし。)と思って大きく呼吸をしソファに戻った。開いたままの不快マップと悪意の文字で埋め尽くされたブラウザーのタブを閉じニュースサイトを開いた、‘’昨夜未明、レビス患者のバラバラ遺体(東京)‘’というヘッドラインに背中は硬直し細かく痙攣するような右手でその文字をクリックした。事件の内容が理解出来ない程に動揺し‘’死体‘’‘’暴行‘’‘’カザドール‘’‘’連続‘’などの単語が脳に染みついた。感情が亡くなったような佐久間は、ゆっくりPCを閉じるとバッ!ゴン、ガシャン!!という音と共にPCが床に転がる。「はぁはぁはぁ、は、は、は、は、、、。」と呼吸が早くなる、佐久間は半開きの口に見開いた目、頭を振り乱しスマホを探す。そして連絡先から佑月のアカウントを見つけると(助けてください。)とメッセージすると、佐久間はそのままブラックアウトするように床に崩れた。
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