三頁 塗葬

自分オリジナルの葬儀を考えてみようかと思った時、パッと閃くのは駄洒落のようなものばかりだ。ペンキに埋める塗葬とか、数式に埋める理葬とか。結局全部埋葬じゃん。


やっぱり先人はすごい。埋葬も火葬も水葬も、使われてきた葬儀はどれも理にかなっている。効率的な遺体処理バンザイ! 自然にラブ&ピース! 本当にそれでいいのか?


効率的に死体を処理されると考えるとちょっと既存の葬式も嫌になってくるな。効率重視にしてはベルトコンベアもないし、墓石はやたらでかいし。効率と儀式の程よい塩梅は本当にアレか? もっと色々あるんじゃねえか?


やっぱ塗葬か? クソみたいな言葉遊びだが、死体をペンキで塗りたくるのは人生に彩りをという意味では最高なのではないかとも思う。死体がペンキ濡れだとスプラのイカに殺されたのかと誤解される危険性もあるけど。


仮に塗葬を行うとして、塗る色は何にしよう? 蛍光色が好きなんですよね、俺。となるとやっぱ黄色とかかな。うーん、橙色とかがいいかもしれないな。蛍光色がなんで好きかって、それはほら、スプラにもある色だし。あと、蛍光色って太陽に似た色だから。いや、スプラは別に好きじゃないし、太陽も別に好きじゃないけどさ。死ぬときくらい太陽に近くなりたいじゃんか。


いや、別にこれ生で土にぶちこむ必要ないな? 単純に棺桶をオレンジに塗りたくればいいか。オレンジ色の棺桶が埋まってるのを後世の人が掘り起こしたらどう思うんだろうな。橙色なんて柑橘系でしか見ないような色だし、でっかいオレンジだと思われて、棺桶を剥かれたらどうしよう。なんて、明らかに与太話なんだけど。


てなわけで、暫定遺書のお願い: オレンジ色のペンキに俺の死体を沈めて、そのまま地面に埋めてください。まあ、明日別の葬儀思いついたら変わるんですけど、今日のところはこれが第一希望でいいだろう。ぶっちゃけ蛍光色の棺桶は眩しそうでちょっと嫌だけど、それはそれ。


死ななければ、また明日考えよう。これより良い死体遺棄を。

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