第11話 訓練開始!…出来ませんでした

『と、まあ。以上がこの世界の大まかな歴史と常識、そしてマスターの現状や。大体はわかってもらえたか?』


 おう…長くて多くて、一度じゃ覚えきれないけど、大体はわかった。


 俺は孤児院に拾われ、小さな女の子にオムツをはかされると言う羞恥プレイをされた後、院長先生の部屋で寝かされ、ようやく考える時間がとれたので、メーティスにこの世界について話を聞いていたのだが…いや、聞いちゃいたけど、かなり酷いな!


『せやなぁ。エロース様がマスターみたいな存在を送るわけやで。そりゃこれくらいせんとあかんわ。本来ならマスターみたいな存在はおったらあかんしなぁ』


 え、なに。俺ってそんなにヤバいの?


『そら不老不死ってだけでも相当やしな。マスターは鍛えたら鍛えただけ強なるし…デウス・エクス・マキナもあるし、亜神って呼んでも差し支えないんちゃう?』


 亜神?…って、何。神みたいな存在だけど神じゃない、と?


『せや。ほとんど神様っちゅうてええやろ。ほぼ死なんのやし。一応、死ぬ方法はあるけど、わいは自殺なんてする気無いし。殺される事もまず無いな』


 そういやエロース様もそんな事言ってたな…てか、自殺?死ぬ方法って自殺なの?


『首ちょんぱしても死なんからなぁ、マスターは。死ぬ方法はデウス・エクス・マキナの制御装置たるコアの自爆…マスターの心臓の爆破。つまりはわいの自殺やな』


 ……なんてヘビィなお話。てか、俺の心臓って爆発するんだ。


『因みにデウス・エクス・マキナには半永久機関のエネルギー発生器【インフィニティ】が積まれとる。神様お手制の高エネルギー発生器…それの自爆やからな。その爆発たるや…その時の被害予想、聞いとく?』


 止めときます。自殺なんてする気ないし。


 …因みに、心臓が破壊されたり抜き取られたりした場合は? 


『心臓が破壊される事なんて先ず無いわ。コアを破壊するって事になるわけやけど、コアを破壊出来るんはそれこそ神様しか無理。抜き取るんも無理やな。コア自体にも防御機構があるし。殺される事は先ず無いでぇ』


 そりゃ何より。


 俺Tueeeeeをするためには危険が付き物だけど、死なないに越した事はないし。


『せやな。害意を持って襲って来る存在にはわいが気付けるし、魔獣や賊なんかは問題無い。マスターが気を付けなあかんのはむしろ…』


 お隣さんかな? 


『…せやな。エロース様にとっても微妙やろ。いくら自分の信者でも、信徒か、金払った信者しか子作りでけへんてのは。身動きとりづらくなるやろし。自由とかなさそやしなぁ』


 ですよね〜…何だよ、宗教が男娼の用意って…そりゃ理由はわかるし、需要もあっただろうけどさぁ。


『院長先生の判断には感謝やな。マスターを女の子として育てるっちゅうのも有りやな。おかしな連中に眼を付けられんようにするには、それしかないやろ』


 …まぁ、そうだな。女の子として生きるのは…ちょっと、いや、かなり抵抗あるが…仕方ない、かな。


『あんま心配ないと思うで?この世界、マスターの前世での感覚に近い…男っぽい服装や言葉使いの女も多いし。そやなぁ…髪の毛長くして一人称を私にしとけばええんちゃう?』


 ほう。それは助かるな。


 あ、でも身体付きでバレないかな?


『それも大丈夫やろ。この世界の女は鍛えててゴッツいのも多いしな。ちょっと大き目のダボついた服でも着とけば誤魔化せるやろ』


 そっか。じゃあ、後は今後の方針だけど…先ずは強くなる!

それも圧倒的に!これは絶対だな。


『ま、それは賛成や。いくらデウス・エクス・マキナがあるっちゅうても多少は身体を鍛えんとな。宝の持ち腐れになるし。でも、流石に赤ん坊の身体じゃ鍛えられへんで?』


 ま、そりゃあな。こんな赤ん坊が筋トレとかしてたら不気味だろう。いくら可愛くてもな。


『そこでマスターには魔法の訓練をしてもらおか。周りに人がおる時には魔法の知識を学んでもろて。周りに人がおらん時に魔力量を増やす訓練やな』


 …細かい事言うようだけど、それ、魔法の訓練って言わなくない?


『ほんま細かい事言うなぁ…両方魔法を使う為に必要やねんから、ええやん。それにマスターが魔法使ってるん見られたら…赤ん坊が魔法使うなんてあり得へんねんから、それこそ不気味がられるで。筋トレする赤ん坊より不気味やわ』


 そうなのか?生活魔法なんてあるくらいなんだから、魔法って一般的なものなんじゃないの?


『確かにそやけど、それは生活魔法に限った話。生活魔法かて使える人はそうおらんし、魔法使いって呼ばれる程の使い手も同じや。色んな事を自力で何とか出来るようになるまで目立ちたくないやろ?おかしな連中に眼を付けられたくないんやから』


 …そうだな。しかし、折角魔法がある世界に転生したのに魔法を使えないってのもな。


 何とかならない?メティえも〜ん!


『…なんや?メティえもんって…ならへんなぁ。せめて自分で立って歩けるようにならな。孤児院の中で攻撃魔法を使うわけにいかんやろ?』


 そこを何とか!ほらデウス・エクス・マキナを使って何とか出来ない?


『ん〜…難しいなぁ。マスターが撃った魔法をデウス・エクス・マキナで防ぐとか、打消すとかは出来るやろけど…デウス・エクス・マキナの能力の一つに次元間移動があるから、別の場所に行くんは簡単やけど…赤ん坊が居なくなったら院長先生らが大騒ぎするやろ』


 そっか…ま、仕方ない。歩くだけなら近いうちに出来るようになるだろうし。それまで我慢だな。


 てか、次元間移動?


『簡単に言えばワープやな。任意の場所に空間を繋いで行き来する事が可能や』


 マジで!?そんなん出来るんだ!魔法じゃなくて?


『魔法でも出来るけど現在では失われた魔法として扱われてるしな。魔力消費量も多いし。デウス・エクス・マキナでやった方がええやろ。ま、どっちにしろ他人に見られん方がええし、出来るようになるんも先の話や。今は知識と魔力を増やす!これに限るわ』


 せやね。ほなら早速訓練といこかぁ!


『イヤや』


 ……イヤや?


『わい、もう眠いねん。御眠の時間やねん』


 眠い?え、お前、眠れるの?


『勿論や。わいは確かに制御装置…アイテムと言える存在やけど、それでも確かに生きとる。ましてやマスターの心臓と一体化しとるわけやしな。生物でもあるんや。眠うなっても不思議やないやろ?ちゅうか、マスターも眠いんちゃうん?赤ん坊やねんから』


 …言われてみれば、確かに。疲れるような事は一切してないのに、眠気が強い…ような気がする。


『せやろ?子供はよう寝んとな。でっかくならへんでぇ…ほな、おやすみ』


 …しゃあないな…おやすみ。


 …zzz







-----------------------------------

あとがき



遅くなりましたが、フォロー、いいね、レビュー、感想、ありがとうございます。

とても励みになります。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る