第Ⅱ章 第16話 ~きっと、生きて還ってくるから……君のために~
~登場人物~
ノイシュ・ルンハイト……本編の主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手
マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァル小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手
ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手
「おい、向こう岸を見てみろ……っ」
ふと誰かが声を上げ、無意識にノイシュは視界を向けた。そこには対岸で隊列を組んでいる敵
――なんだ……?
ノイシュは眼を細めて前方を注視した。やがて開いた隊列の
――そ、そんなッ……
敵軍の
不意に敵軍の術士隊は
「みんな気をつけろっ、
すぐ
――くっ、来るのか……っ
無意識にノイシュが全身を
――ま、まさか……ッ
不意にノイシュは
対岸から
「
不意にマクミルの
向こう岸では
「ビューレ、君は後方にいるんだ。みんなの
「はい……っ」
そう
――もう一度、僕は戦わなくちゃならないんだっ……
ノイシュは
「
味方部隊から様々な
――僕の身体に宿る
前方から
「隊長、ご
人知れずそう
「うわああァぁ――ッ」
――ダメだっ、間に合わない……っ
ノイシュは
――マクミル……ッ
隊長は敵戦士を上回る反応速度で手にした
「――大丈夫か、ノイシュ」
隊長に声をかけられてようやく、ノイシュは自意識を引き戻した。そして自身が
「……ありがとう、マクミル」
「
それだけ告げるや隊長はすぐに地を
――
――あれはっ……
ノイシュが眼を
――そっ、そんなっ……
「上空に
そう
「ノイシュ、俺達も
不意に名前を呼ばれてノイシュが
「マクミル、先に逃げてっ」
そう告げた直後、
――ビューレは……っ
ノイシュは再び周囲を見渡し、目当てとなる少女を探す。
――いた、あそこ……っ――
後方の少し離れた場所に、口元を両手で
――……ッ
ノイシュは急ぎ彼女の元へと駆け出した。その間にも
「ビューレ、逃げるんだっ」
そう告げながらノイシュが彼女の所へと
「ノイシュ、どうしよう……っ」
不意に、彼女が口許を大きくわなないた――
「これだけ沢山の人が燃えているのにっ……私だけの力じゃ誰も救えない……ッ」
――ビューレ……ッ
ノイシュは奥歯を
――君は、本当に優しいよ……
「ビューレ、お願いがあるんだ」
ノイシュはまっすぐに修道士の少女を見
「――どうかこの
ビューレはそこで絶句した様に
「……分かった、でもノイシュは……」
「僕は
不意に、少女の
「そんなっ、兵数の差は歴然なんだよっ……それなら、私も
――……ごめんね、ビューレ……ッ
ノイシュは眼を開け、
「だめだっ、後方の味方を守るためには、誰かがここを守らなきゃいけないんだよッ」
ノイシュは顔を
――ゴメンね、ミネア……ッ
「ノイシュ……ッ」
不安げに自分の名をつぶやく少女の声が耳に届き、ノイシュは再び顔を上げると彼女に
「きっと、生きて還ってくるから……君のために」
そして手を伸ばし、彼女の
「ノッ、ノイシュ……ッ」
ビューレの
「安心しろ、
不意に背後から声がしてノイシュが
「だからこいつの言う通り、ビューレは
「……
ノイシュは修道士の少女へと
「……約束だからね、きっと戻ってくるって……ッ」
次第に彼女の表情が決意の色へと変わっていく。ノイシュは身体が
「うん、きっと」
「約束だよ……ッ」
そこでビューレはゆっくり立ち上がり、本隊のある方向へと小走りに向かっていった。途中、何度もこちらを
やがて彼女の姿が
「隊長、感謝してます。僕の考えに
不意にマクミルの
「分かっていると思うが、きっと本隊は
「……こうでも言わなきゃ、彼女は最前線を
ノイシュは剣の
「ノイシュよ」
不意に名前を呼ばれてノイシュが振り向くと、
「お前と一緒に戦えた事……俺は
隊長が対岸へと
「ノイシュ、君に
そう言ってマクミルは敵軍に向かって両手を力強く広げた。
「……えぇ、あなたも」
「
突如としてマクミルが土を
「はいっ」
ノイシュを強く大剣を
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