第Ⅱ章 第14話 ~あれは、敵軍の大規模術攻撃……ッ~
~登場人物~
ノイシュ・ルンハイト……本編の主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手
マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァル小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手
ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手
グロム河の水面から静かに
「……静かですね」
後方から少女の声が聞こえ、ノイシュが振り向くと不安げな表情で佇むビューレのほか、マクミルや沿岸に配置された数名の戦士達の厳しい表情があった。
「うん……」
ノイシュは
「始まるぞっ」
不意にマクミルが前に進み出て橋の方を指し示すと、
――術士隊による
次の瞬間、ノイシュは次々と
敵軍は掲げた
その途端、
ノイシュは思わずうつむいた。きっと最前線では槍に身体を貫かれた者が
その時、ノイシュは前方の対岸から巨大な燐光が瞬くのをとらえて顔を上げた。
――あれは、敵軍の大規模術攻撃……ッ
ノイシュが眼を見開いた
直後に後方から激しい
周囲へと広がる
次の
「アアアァぁァ……ッ」
不意にすぐ後ろから絶叫が
「めっ、眼が、眼がッ」
その声でビューレだと気づく。どうやらあの
――ビューレ……ッ
ノイシュは奥歯を噛むと、思い切り腕を伸ばすともう一度彼女に触れた。細く柔らかい感触が五指に伝わっていく。彼女の肩口だろうか――
「ビューレ、僕だよっ、落ち着いてッ」
なおも修道士の少女は身体を震わせていたが、今度は
「ビューレ、もう大丈夫だよ……」
ノイシュがそう言葉を告げると、顔に
「二人とも、平気か」
不意に離れたところからマクミルの声が届き、ノイシュは頷いた。視界には未だ青黒い光の
「どうやら、敵軍の方が
マクミルの声にノイシュが戦場へと目を向けると、消えゆく
――でも、術士隊の兵力はこちらの方が劣るはず……にも関わらず、こちらの攻撃が優勢だった――
思わずノイシュは小さくうなだれた。
――たぶん、圧倒的な
ノイシュは奥歯を噛み締めながら顔を上げると、橋頭堡の更に後方で集結している修道服の集団を見据えた。そこにはおそらく大神官ヨハネスがいるはずだった――
――たった一人で百人大隊の霊力を宿すとさえ言われる大神官が加われば、その兵力差さえも
不意に両岸から再び詠唱が湧き上がっていくのを聞き、ノイシュは眼を細めた。互いの攻撃術による応酬は、きっとどちらかが壊滅するまで続くのだろう。忌まわしき消耗戦が、戦いの
「こちらに回復術士はおられますかッ」
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