第15話
次の『問題』が持ち上がった時にホッとしてしまったのは、もはや俺をもっとも悩ます問題が『人間関係』のみになっていたからだろう。
起こった問題は物理的というか、物質的というか……
とにかく人と人との機微に根ざす、答えの見つからないまま悶々としなければならないような、そういう性質からはかけ離れていた。
のちに
その最初の被害に遭ったのは、王都北部に新設されていた領地だった。
そこは俺と女王陛下が最初に拾った姉弟の治める土地であり、伝令役には姉の方が駆けつけた。
弟は逃げる村人を守るため、
弟の方は目が見えないのだけれど、やはり度重なる狩りにより、その強さは『国民』の中でも上位にあった。
しかし『長距離を駆ける』というのはやはり苦手だったため、姉の方が持ち前の速度を活かして伝令に来た、という背景があったらしい。
……
この時の俺はまだ
実際に
……この時は
だから勢い込んで駆けつけ、どうにかまだ生き残っていた弟と力を合わせてこの現象を乗り切った時は、予想を下回るあっけなさに肩透かし感さえ覚えたほどだった。
ケガ人は
この喜ばしい戦果に王国中が盛り上がり、盛大に祝われた。
一人で村人たちの背を守った彼は『元帥』という地位を与えられた。
……まあ、率いる軍はないので、それは名誉以外にはなにももたらさなかったのだけれど、例の『王国ごっこ』において彼が頭ひとつ抜けたのは事実だろう。
……ところが、『
それは実際に
結論から言えばその意見は正しかったのだが……
これが、いけなかった。
盛り上がりに水を差されると人は不機嫌になるもので、さらに水を差している連中が『よそもの』ともなれば反発も大きくなる。
「もちろん、モンスターの
だなんていう前置きは、人々のあいだに広まる時には省略され、彼女はすっかり『英雄の活躍にいちゃもんをつけるよそもの』とされてしまった。
ただし、これは大きな問題になる前にどうにか解決した。
のちに
それらはいくらかのケガ人を出し、油断し、英雄になろうと無茶をした者を数人殺しながらも、かつての
そうして
俺はこの
そうして━━
この世界と、『元の世界に帰る』という俺の夢と、どちらをとるかを選ばされる、その日が。
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