第六章〈王太子の受難〉編

勝利王の書斎06「すべての卵を同じカゴに入れてはならない」

 第五章が終わり、第六章が始まる直前である。

 は、歴史小説の幕間にひらかれる。


 第二章はじめの「書斎」で、以前は「書斎01」があったが消滅したと書いた。


 1番目の書斎は、かつてここにあった。


 第五章までの文章量がちょうど文庫本1冊分になったため、「あとがき」代わりに書いたページだった。当たり障りのないあとがきではなく、この物語と語り手ストーリーテラーを結びつける重要な告白を兼ねていた。


 書籍の「あとがき」ならば、続刊が出るまで一区切り。

 読者諸氏がさまざま考える余地がある。


 だが、Web小説では切れ目なく続いていく。


 重要な告白をしても、一度だけでは読み飛ばされ、やがて忘れられてしまう。

 意図がある「設定」を不備だと見なされるのは、作者としてはやはり悔しいからな。

 各章の境界で「書斎」ページを挟み込み、本作の「主人公シャルル」と「語り手ストーリーテラー」のポジションの違いを思い出していただこうという寸法だ。


 さて、今回のサブタイトルは次のとおり。


 "Il ne faut pas mettre tous ses œufs dans le même panier."


 フランス語の慣用句で、直訳すると「すべての卵を同じカゴに入れてはならない」

 その意味は「すべての財産を一か所に投資するより、分けて投資した方がいい」


 この物語を、小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、pixivなど、複数の小説サイトで重複投稿するのも、「分けて投資」と同等の意味がある。

 記憶とは、死後も消えない永遠の財産だ。


 さて、時間が来たようだ。

 これより第六章〈王太子の受難〉編を始める。

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