第173話 罰として

 俺がジュディの詰問から解放されたころには、夜も更けてしまっていた。


 いくら緊急事態だったとはいえ、ガブラス家の結界とガーゴイルの両方を壊しちゃったからな……


 リーゼが間に入ってくれたから、牢屋に放り込まれたりはしなかったけど、代わりに違う罰を受けることになった。


「結界が直るまで、館の警備をしていただきますわ!!」


 ジュディにそう言われれば、「はい」とうなずくしかない。


 ちなみにこの警備には、俺だけでなく、アイーダも駆り出されることとなった。


 まあ、アイーダが竜の姿でいるだけで、防犯になるからな。


 俺の巻き添えですまないなと、アイーダに頭を下げる。


「お主には世話をしてもらっておるからな。

 何も問題はないのだ!」


 アイーダはいい子になったなー。


「しかし、見返りは、いっぱいしてもらうのだ」


 前言撤回。


 いつも通りだった。


「何が望みだ?」

 

「この街の料理をたらふく食べたいのだ!

 街を眺めたときに、うまそうなものがたくさんあったのだ!」


「食べ歩きか。

 それくらいなら……」


 あ、でも『アマノマヒトツ』を買ったせいで、俺の財布はほとんど空だったか。

 

 エルフの森で倒したモンスターの素材はまだ残っているけど、アイーダの食欲を考えると、もっとお金をもっておかないと……


 イベントが終わったらイズンを出て、狩りにいこう。


 話はまとまった。


 俺とアイーダはガブラス家に残って見張りだ。


「でしたら、私たちもこの家に居させてもらいましょう」


「ボクたち、同じチームだもんね!」


「ウチもウチも!」


 ふたりで残ろうとしたら、ルナ、マイア、ウェルンがなぜか名乗りをあげた。


「え?

 いえ、あなた方をこの家に置くつもりは……」


 ジュディが困惑していると、リーゼが肘でジュディを軽く突いた。


「あたしも残るわ」


「なっ!

 リーゼさんまで!?」


「アンタのメイドに、また魔族が会いにくるかもしれないでしょ?

 そいつを捕まえて、いろいろしゃべってもらうの。

 名案じゃない?

 そういうわけだから、よろしくね」


「ちょっとぉ!

 勝手に決めないでくださいませ!」


 ジュディが声を張り上げるも、リーゼを始めとして、ルナたちもジュディの意見を聞いていないようだった。


 何度帰れと言っても動かない少女たちを見て、ジュディが根負けした。


 こうして、俺たちはその夜からしばらくの間、ガブラス家の警備員として厄介になることとなった。


 

 

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