第169話 ガブラス家に乗り込むために

 リュウが教えてくれた魔族の居場所は、ガブラス家だった。


 ジュディの実家だな。


「そんな……ガブラスが……」


 魔族と関係があると言われて、リーゼはショックを受けているようだった。


 なんだかんだで、ジュディと仲がいいからな。


「まだガブラスが敵対したと決まったわけじゃない。

 とりあえず、行ってみよう」


「……ええ、確かめないと。

 すぐにあたしの部屋に集まって」


 リーゼは何かを決意した表情で、部屋を出ていった。


 ……そういえば、部屋にはカギがかけられてはずだったけど、解錠されていたらしい。


 朝になったからカギを外したのか、それともサタナもガブラス家のことに気づいたのか……


 気にはなるけど、何か知っているならサタナから次のアクションはあるだろう。


 ひとまずは、ガブラス家にいる魔族を見つけ出す方法を考えよう。




 リーゼの部屋にパーティメンバーを集めたあと、俺は作戦の内容を伝えた。


「ガブラス家を調べるために、パーティを2つにわける。

 ひとつは、リーゼといっしょに直接ガブラス家に乗り込んでもらう。

 もちろん、いきなり仕掛けるんじゃなくて、様子を見に来たと言って、あくまで友好的に訪問する形だ」


 そこでルナが手を上げた。


「もしも魔族がいるなら、家に入るのを断られるのではありませんか?」


「そうなるかもしれないけど、大丈夫だ。

 こっちも『三貴族』のペルサキス家のリーゼが訪問するんだからな。

 向こうだってむげに断ることはしないはずだ。

 むしろ、魔族がいるなら潔白を証明する意味でも、家に入れてくれるだろう。

 まあ、仮に断られても、ジュディが来たときのように強引に入ればいい」


「そうね、当主であるお父様が来るとなれば、準備だなんだって言われるかもしれないけど、ただの娘であるあたしが行く分には大丈夫よ」


 リーゼが補足してくれる。


 ルナは「なるほど」と納得してくれたようなので、次の話題に行く。


「リーゼといっしょにガブラス家に入るのは、マイアとアイーダだ。

 アイーダは一度ジュディと手合わせしたからな。

 この間のことで話があるからついて来たと言えば、向こうも不審がることはないだろう。

 それに加えて、もし強めの魔族が出てきたとしても、アイーダなら倒せるかもしれないしな」


「そのとおりなのだ!

 魔族の親玉が隠れていようが、我が片手でひねってやるのだ!!」


 アイーダは余裕たっぷりのようだ。


 ここは安全圏だからな。


 もしも、バーラにいたシトリーと同じ、元『魔王軍』の幹部クラスが出てきたら、逃げ出そうとするかもしれない。


 ゲームではそんなことはないんだけど、こちらの世界だとわからないからな。


 その場合は、マイアにアイーダの手綱を握ってもらうつもりだ。


「マイア、悪いけどアイーダのことを頼むよ」


「任せておいてよ!」


 マイアはグッと握った拳を俺に向けてきた。


 その拳にこちらも拳を出して、軽く当てる。

 

「最悪、アイーダを盾にして逃げていいからな」


「あははは、奥の手に残しておくよ」


「なぬっ!?

 我を盾扱いするのでないのだ!!」


 アイーダが口を挟んできたけど、それはスルーして話を続ける。


「もうひとつのグループは、俺とルナとウェルンだ。

 外からガブラス家を監視する。

 もしも何か動きがあれば、すぐに乗り込むからな」


「はい!」


「ウチもしっかり聞き耳立てておくッス!」


 ルナとウェルンの同意も得られた。


 これでメンバーの役割は決まったな。


 あと、リュウにはガブラス家の周囲を移動しながら監視してもらう。


 俺の知っているイベントでは、周囲に潜んでいる魔族はいないはずだけど、念のためだ。


「それじゃあ、魔族を見つけにいくぞ!」


「「「「「おー!!!」」」」」


 こうして、俺たちはガブラス家へと向かった。

 

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